韓国住宅価格、NYに次ぐ「世界2位」の衝撃 融資規制強化で庶民のマイホーム購入が不可能に
政府は「融資規制は富裕層対象」というが......
また外国人による不動産買い占めを懸念する声もある。韓国人は資金調達が厳しく監視され、また制限されるが、外国人は資金の出所や海外に所有する不動産などの情報収集が難しく、実効性に限界がある。さらに保証金の返還も課題となる。賃貸借契約の満了に伴う保証金の返還を担保融資に頼っているヨンクルは融資が受けられないと保証金を返すことができなくなる。
カードローン規制は一般市民やとりわけ小規模事業者への打撃となる。住宅購入に利用する人もなかにはいるが、多くの市民は病気や失業、各種災難等に伴う一時的な出費を補完する目的で利用しており、一時的な緊急支払いに利用する小規模事業者も少なくない。銀行からの借り入れが所得上限に達している事業者はカードローンを使うことが出来なくなる。
不動産開発は用地取得や許認可から竣工まで数年からときには10年以上かかることもある。 融資規制の影響で住宅需要の減少が予測されると開発にブレーキがかかって住宅供給が停滞する。需要に対して供給が追いつかないと既存の住宅が値上がりする。
当局は今回の住宅融資規制の影響を受けるのは年間所得1億ウォン以上で、融資額上位10%と説明する。ある程度、富裕な層が対象というが、住宅購入者が富裕層に限られると、住宅供給の停滞と相まって希少価値が生じる住宅価格の上昇は避けられない。
規制強化の成果は
政府が住宅担保融資規制を発表した直後の1週間、住宅ローンの1日当たり申請額は3500億ウォン台にとどまったという。直前(7400億ウォン)の半分以下の水準だ。担保価値や支払い能力とは関係ない融資規制には前例がなく、当局が期待する価格抑制につながるか、あるいはさらなる上昇を招くのか予断を許さない。
文在寅政権は27回におよぶ不動産対策を発表したが、ことごとく失敗に終わり、主要支持層である会社員からマイホームの夢を奪う結果となった。日韓国交正常化以来、最悪の日韓関係をもたらしたとして批判を浴びた文在寅元大統領だが、韓国国内での人気凋落の主因は不動産政策の失敗だった。一方、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は規制を緩和し、供給を増やして需要と供給のバランスを整えることで不動産価格の上昇を抑制する方針を掲げていたが、これも成功せずに終わっている。
李在明政権はふたたび規制を強化するが、今回の不動産政策が政権の命運を左右する可能性もあり、今後の展開が注目される。