一体なぜ? 貿易黒字なのに「関税50%」...トランプがブラジルにこだわる「個人的な理由」
Trump’s “Breakfast Tax” Against Brazil
ブラジル北部のロライマ州は、この問題の矛盾を象徴する場所だ。
同州はボルソナロが22年大統領選挙の第1回投票で70%近い票を獲得した最大の支持基盤だが、農業分野の好況により急成長を果たした州でもある。皮肉なことに同州はトランプ関税の経済的影響に対し、最も脆弱な地域の1つとなっている。
同州のアントニオ・デナリウム知事は強固なボルソナロ派だが、本誌にこう語っている。「鉄鋼、肉などの主要輸出品への影響はブラジル経済全体に波及するだろう」
アメリカのサプライチェーンにとってもコスト増要因になる。鉄鋼、アルミ、航空宇宙部品など多くの「半製品」は、ブラジルで加工されてからアメリカの工場に送られる。ブラジルのアルキミン副大統領兼開発・産業・貿易・サービス相は「米経済は逆噴射する」と警告した。
それにブラジル側も黙っていない。ルラは相互主義に基づく報復を明言。自国の司法制度の独立性を強調した。熱心なボルソナロ派を除けば、ブラジル国民は政治的立場を問わず、自国の民主主義にあれこれ指図する外国の指導者に好意的ではない。





