最新記事
チベット問題

次の「ダライ・ラマ15世」が地政学リスクに? チベット人が語る、中国からの干渉を防ぐ方法とは

Who Will Decide the Next Dalai Lama?

2025年7月8日(火)14時25分
ケルサン・オーカサン(チベット人、米アトランティック・カウンシル客員上級研究員)

ダライ・ラマ14世は今年の3月に発行したばかりの著書『声なき者たちのための声』(邦訳未刊)で、大切なことを2つ述べている。

まずは以前に示唆した「化身は自分で終わり」という仮説を否定し、「前任者の仕事を引き継ぐ」15世が必ず出現すると予告した。


さらに「新しいダライ・ラマは自由世界に生まれる」と明言した。つまり亡命チベット人、またはチベット自治区を含む中国領以外に住むチベット仏教徒コミュニティーから後継者を選ぶという意思の表明だ。対して中国は、次なるダライ・ラマを認定する唯一の権利は自国にあると主張しており妥協の余地はない。

伝統的な方式では、捜索隊が宗教的な兆候を解釈したり儀式を執り行ったりしながら、先代が死去した頃に生まれた子供の中から候補を探す。故人からの指示に従い、お告げや高僧に相談しながら、啓示を受け、本物であるか確認するための試験をするなどの複雑な手続きを踏んでいく。

一方で中国は、清朝の時代からダライ・ラマを含むチベット仏教の高僧の選任に口を出してきた。1793年には高僧の化身をくじ引きで選ぶ「金瓶掣籤(きんべいせいせん)」方式を用いるよう提案している。ただしダライ・ラマ14世の2011年の声明によれば、この方式で選ばれたのはダライ・ラマ11世のみだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

EXCLUSIVE-BYD、25年販売目標を16%

ワールド

トランプ氏、4日にハイテク企業CEOと夕食会 改装

ビジネス

英経済は軟着陸近い、金融政策を慎重に調整へ=テイラ

ビジネス

午前の日経平均は反発、500円超高 ハイテク株が押
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害…
  • 5
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 6
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 9
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 4
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 5
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中