焦点:雪解けは本物か、手綱握りなおす中国とロシア向く北朝鮮
1月15日、北朝鮮との国境を流れる鴨緑江の中国側丹東で撮影。REUTERS/Maxim Shemetov
Mei Mei Chu Ju-min Park Claire Fu
[丹東/ソウル/シンガポール 11日 ロイター] - 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は昨年9月、装甲列車で北京に到着し軍事パレードに出席した。これは数年間冷え込んでいた中朝関係の雪解けを象徴する出来事だった。
金正恩氏はパレードに上級経済チームを同行させ、通商と投資を議論した。その5週間後、中国の李強首相が平壌を訪問して返礼し、駐北朝鮮中国大使は両国が「新たな章を書き記している」と宣言した。
中国の狙いは明確だ。2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシアに急接近した北朝鮮に対して、伝統的な影響力を再び確立することだ。北朝鮮は核兵器開発に伴う国連制裁で疲弊した経済を支えるため、燃料や食料と引き換えにロシアへ兵士や武器を供給してきた。
ロイターの調査により、中国が北朝鮮への関与を深めている実態が明らかになった。衛星画像では、両国が国境沿いに道路や港湾施設などの新たなインフラを建設している様子が確認されている。トランプ米大統領が金氏との対話再開に意欲を示す中、中国は経済的な結び付きを強化し、北朝鮮への支配力を高めている。
ロイターはこの変化を検証するため、貿易データを精査し、1350キロに及ぶ中朝国境の一部を取材。北朝鮮人の飲食店従業員や北朝鮮に工場を持つ中国の経営者、西側の観光業者、中国政府関係者を含む30人余りに取材した。
関係改善は慎重に進んでいる。北朝鮮は20年にパンデミック対応で国境を封鎖し、観光業は現在もほぼ閉鎖されたままだ。金氏のロシア接近は、制裁下での経済・政治パートナーの多様化を反映している。それでも一部のアナリストは、金氏が中国との協力強化を通じてさらなる開放に向けた態勢を整えつつあると見る。中国は北朝鮮の経済的依存度を高めることで、トランプ氏に対し「米国の最大の戦略的ライバルが金氏の行動を左右する鍵を握っている」というメッセージを送ることができる。
昨年の中国の対北朝鮮輸出額は前年比25%増の23億ドルと、6年ぶりの高水準に達した。中国は昨年11月、軍備管理白書から長年掲げてきた北朝鮮の非核化という文言を削除した。金氏は3月9日、習近平国家主席へのメッセージで両国の協力が「将来的に一段と緊密になるだろう」と述べたと、北朝鮮国営メディアが報じた。
韓国・慶南大学の林乙出教授は「政治、経済、安全保障、軍事の全領域にわたる議論が始まっており、関係を飛躍的に発展させる土台が築かれている」と述べた。ロシアのペスコフ大統領報道官は中国の北朝鮮接近を歓迎していると語り、中国外務省は両国が「積極的に国境協力を進めている」と述べた。
<両岸をつなぐ橋>
中国の国境の街・丹東では、越境交通量の増加に備えた動きが見られる。衛星画像によると、昨年5月、未開通の「新鴨緑江大橋」の中国側に車線区分の路面表示が塗装された。北朝鮮側でも橋のふもとで税関・出入国管理施設や倉庫、貨物施設とみられる建物の建設が進んでいたが、昨年11月に停止した。
実務的な措置も並行して進んでいる。中国政府は今週、北京と丹東・平壌を結ぶ旅客列車の運行を6年ぶりに再開すると発表した。ただし切符の購入は北朝鮮のビジネスビザを持つ旅行者に限定されている。観光旅行は公式には再開されていないが、旅行会社ヤング・パイオニア・ツアーズの共同創設者ローワン・ビアード氏は、鉄道運行再開を将来の観光客受け入れに向けた前向きな兆しと評した。
ロイターが1月に丹東を訪れた際、「中朝友誼橋」の上を布地や大豆油、タイヤ、冷凍アヒル肉を積んだ中国のトラックが絶え間なく往来していた。あるレストランでは北朝鮮人従業員が5人働いており、その一人は昨年12月に10人以上のグループで北朝鮮から到着したと語った。
<カツラ、つけ髭、そしてタングステン>
戦略国際問題研究所(CSIS)のアナリスト、ジョセフ・バユミューデス氏によると、インフラ活動の活発化は中国が貿易拡大の準備を進めていることを示す。「北朝鮮には豊富な原材料と低賃金の労働力が存在する」と同氏は述べた。
国連制裁が石炭などの伝統的な輸出品を制限する中、中国は労働集約型の資材輸入にシフトした。カツラやつけまつげなどのヘア製品は現在、中国の対北朝鮮輸入額のほぼ半分を占め、この10年間で327倍に急増している。
また中国は北朝鮮産の戦略金属の主要な買い手でもある。ロケットやミサイル部品に不可欠なモリブデン鉱石とタングステン鉱石の輸出額は、25年にそれぞれ記録的な水準に達した。アナリストのコーリー・コムズ氏は、中国がこうした公式輸入によって低価格で備蓄を強化しつつ、北朝鮮の鉱物が国際市場に流通しないよう管理していると指摘した。
<第二の上海>
中朝の関係深化にもかかわらず、丹東では大きな変化はまだ見られない。2014年に完成した「新鴨緑江大橋」は依然として交通量ゼロのままで、中国側の住民たちが双眼鏡で対岸をのぞき込んでいる。
「昔は丹東新区が第二の上海になると冗談を言ったものだ」と、橋の近くの喫茶店の店員フーさんは語った。「もしあちら側が本当に開放すれば、そうなるでしょう」
しかし通りには空き店舗が並び、不動産価格は第1次トランプ政権時の1平米あたり1万元から約3000元へと大きく下落した。北朝鮮が国境再開に慎重な理由の一つは、中国が制裁緩和に向けて十分に動いていないという不満にある、と慶南大学の林氏は述べた。
国境貿易を監視する中国政府当局者のチー氏は「最悪の時期は過ぎ去った。これからはどんどん良くなるばかりだ」と語った。





