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トランプ税制改革の「壊滅的影響」...富裕層への減税で医療保険と地方経済が危機に

2025年7月7日(月)18時00分
ニック・モルドワネク(本誌記者)
ホワイトハウスで法案に署名するトランプ

共和党議員が見守るなか、ホワイトハウスで法案に署名するトランプ大統領(7月4日) KEN CEDENOーREUTERS

<「ワン・ビッグ・ビューティフル」法はトランプ肝煎りの税制改革だが、医療サービスなどセーフティーネットへの「破滅的事態」を招くと専門家は警鐘を鳴らす>

トランプ米大統領の税制改革・歳出削減法案「ワン・ビッグ・ビューティフル」法案の一環として、与党・共和党はメディケイド(低所得者医療保険制度)の削減などを可決した。上下両院で数カ月にわたる審議の末に、7月3日に下院で218対214で可決された同法案は、医療へのアクセスと社会保障に関する広範な懸念を引き起こした。

特に心配なのが、メディケイドや社会的セーフティーネットに依存する低所得層への影響だ。議会予算局(CBO)の推定によると、今後10年間でメディケイドの予算は約1兆ドル削減され、2034年までに1200万人が医療保険を失う。


世論調査によると、この削減措置はひどく評判が悪い。来年の中間選挙を控えた共和党にとって頭の痛い問題だ。

「ワン・ビッグ・ビューティフル」法は、トランプの国内政策実現を推進する包括的内容で、主要な税制改革と歳出削減、複数の分野における規制の変更が含まれる。

その1つがメディケイドの受給資格見直しだ。受給者には月80時間以上の就労が義務付けられ、多くの公衆衛生専門家や議員から、数百万人が制度から排除されるおそれがあると警告する声が上がっている。そのほかにも、農村地域の医療サービス低下や、診察時の自己負担額の増加が懸念されている。

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