最新記事
ロシア

イスラエル・イラン紛争はロシアの影響力凋落の第一歩...「ロシアの中東政策は滅茶苦茶に」

2025年6月23日(月)16時50分
ブレンダン・コール(本誌記者)

中東ではアメリカの方が優勢

冷戦時代、ロシア(当時ソ連)はエジプト、シリア、イラクなどのアラブ諸国を経済・軍事面で支援し、アメリカはNATO加盟国のトルコやイスラエルなどを影響下に置いていた。だが、1991年のソ連崩壊後はアメリカが優勢になり、2010年までにイランとシリアを除く全ての中東諸国がアメリカと良好な関係を築いたと、米戦略国際問題研究所は17年に指摘した。

11年にシリア内戦が始まると、ロシア軍は積極的に介入。タルトゥース海軍基地とフメイミム空軍基地を拠点に軍事的足場を強化した。だが、アサドは反政府勢力に敗北してモスクワに亡命。地中海への海軍のアクセスを含め、ロシアの支配力は弱まった。


イスラエル・イランの武力衝突の結果は、米ロの二極構造だった冷戦時代に起きた場合より広範な影響を及ぼすだろうと、ボリーンは指摘する。

「現状は地域大国の群雄割拠だ。もしロシアの力が弱まり、欧州諸国が団結を維持する一方、NATOに頼らず自国の防衛力強化に投資していけば、ロシアの衰退と欧州の基盤強化が同時に実現するだろう」

ロシアはウクライナ侵攻でイランに支援を求め、イラン製ドローン「シャヘド」を使ってウクライナのインフラを破壊してきた(現在はこの技術を活用してドローンの多くを国内生産している)。両国は1月17日に包括的戦略パートナーシップ条約に署名。安全保障・国防関係を強化した。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:中国の飲食店がシンガポールに殺到、海外展

ワールド

焦点:なぜ欧州は年金制度の「ブラックホール」と向き

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    ギザギザした「不思議な形の耳」をした男性...「みんなそうじゃないの?」 投稿した写真が話題に
  • 4
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 5
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 6
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 8
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃を…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 10
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中