最新記事
ロシア

ロシアの次なる侵略のターゲットはエストニア? ドイツ情報局長官が警戒を呼び掛け

2025年6月10日(火)15時10分
ドイツの対外情報機関、連邦情報局(BND)のブルーノ・カール長官は、ロシアがウクライナ国境を越えて西側諸国との緊張激化を含め、北大西洋条約機構(NATO)の結束を試す構えだとの見解を表明した。写真はカール長官。ベルリンで19年撮影。

ドイツの対外情報機関、連邦情報局(BND)のブルーノ・カール長官は、ロシアがウクライナ国境を越えて西側諸国との緊張激化を含め、北大西洋条約機構(NATO)の結束を試す構えだとの見解を表明した。写真はカール長官。ベルリンで19年撮影。(2025年 ロイター/Axel Schmidt/File Photo)

ドイツの対外情報機関、連邦情報局(BND)のブルーノ・カール長官は、ロシアがウクライナ国境を越えて西側諸国との緊張激化を含め、北大西洋条約機構(NATO)の結束を試す構えだとの見解を表明した。

ドイツのオンラインメディア「テーブル・メディア」のポッドキャスト番組のインタビューで述べた。


NATO条約では集団防衛義務が定められている。しかし同長官は、ロシアがもはや実効性がないと判断した明確な情報を既に入手していると述べた。情報源の詳細は言及を避けた。

同長官は「ウクライナ(への侵略)は西方進出の一歩に過ぎないとわれわれは確信しており、それを示す情報も把握している」と述べた。

ただ、「(ロシア軍の)戦車部隊が西に向かって進軍すると予想しているという意味ではない」と指摘。その上で「NATOの集団防衛の誓約が試される時が来るとわれわれは考えている」と言明した。

同長官は、ロシアは米国がNATO条約第5条に基づく集団防衛義務を本当に果たすかどうかを試すとの見通しを示しつつも、全面的な武力衝突には至らない西側との対立状態を想定しているだろうと話した。

同長官はバルト3国の1つ、エストニアを具体的に挙げ、「ロシアは(エストニアで)少数民族ロシア人が抑圧下にあるとみて、その保護のため」と称し、2014年にウクライナ領クリミア半島を併合した際と同じ方法を執るとの見方を示した。階級章や国籍マークのない制服や私服に身を包んだロシア兵が入り込み、建物や官公庁を占拠していくというものだ。

ただ、同長官は米国側当局者との意見交換を通じて「彼らもわれわれ同様に深刻に受け止めており、ありがたいことだ」と話した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 トランプvsイラン
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年7月8日号(7月1日発売)は「トランプvsイラン」特集。「平和主義者」の大統領がなぜ? イラン核施設への攻撃で中東と世界はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

赤沢再生相、ラトニック米商務長官と3日と5日に電話

ワールド

OPECプラス有志国、増産拡大 8月54.8万バレ

ワールド

OPECプラス有志国、8月増産拡大を検討へ 日量5

ワールド

トランプ氏、ウクライナ防衛に「パトリオットミサイル
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中