デンマーク首相、グリーンランドをめぐって米国からの「受け入れ難い」圧力には屈しないと訴え
6月5日、デンマークのフレデリクセン首相(写真)は、自治領グリーンランドの領有権をトランプ米大統領が要求していることを非難し、デンマークは「受け入れ難い」圧力に屈しないと訴えた。写真は2日、リトアニアの首都ビリニュスで撮影(2025年 ロイター/Ints Kalnins)
デンマークのフレデリクセン首相は5日、自治領グリーンランドの領有権をトランプ米大統領が要求していることを非難し、デンマークは「受け入れ難い」圧力に屈しないと訴えた。また、グリーンランドの自決権は危機に瀕しているとも警告した。
トランプ氏は、米国益と国際安全保障上の理由から鉱物資源が豊富で戦略的な立地にあるグリーンランドの領有権を望んでおり、そのための武力行使も否定しないと主張している。
これに対し、フレデリクセン氏は「私たちが何世代にもわたって築き上げてきた世界秩序が、かつてないほどの危機にさらされている」とし、「ここ数カ月にわたってグリーンランドとデンマークは、最も近い同盟国から受け入れ難い圧力を受けている」と米国を批判した。
グリーンランドを3月に訪問したバンス米副大統領は、同じく北大西洋条約機構(NATO)加盟国のデンマークによるグリーンランドの治安維持が十分ではないと非難し、米国ならばグリーンランドをより保護できると主張した。グリーンランドでは3月に議会選挙が実施され、独立を急がない姿勢を取る民主党が勝利していた。
デンマークとグリーンランドの指導者は、グリーンランドの将来を決めることができるのはグリーンランド人だけであり、デンマークの憲法はグリーンランドが独立を求める権利を定めていると指摘している。
フレデリクセン氏は、国家主権と国境の尊重、人々の自決権といった米国との基本原則が危機に瀕しているとして「私たちは屈しない。私たちデンマーク人はそのような国民ではない」と訴えた。
グリーンランドの首都ヌークは、デンマークの首都コペンハーゲンより米主要都市のニューヨークに近い。グリーンランドは鉱物や原油、天然ガスを埋蔵しているものの開発が遅れており、鉱業分野への米国の投資はごくわずかにとどまっている。
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