「韓国のトランプ」李在明、ポピュリズムで掴んだ勝利の代償とは?

SOUTH KOREA’S TRUMP

2025年6月6日(金)15時42分
木村 幹(神戸大学大学院国際協力研究科教授、本誌コラムニスト)

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「ポピュリスト」はテロに狙われる存在でもある。昨年1月に釜山で首に切り付けられ、ヘリでソウルに運ばれた李 AP/AFLO

言い換えるなら、盧や文にとって民主化とは、単なる政治における民主的要素の導入にとどまらない意味を持っていた。彼らはその延長線上で国際社会についてもこう考えた。

保守派の支配を支えてきたのはアメリカとそれを支配する多国籍企業である。その背後には北朝鮮からの脅威にさらされる韓国が、アメリカとの同盟関係なしに、自らの国家を維持できない状況がある。

だからこそ、保守派の支配を打破して、「国民」の手に国家を取り戻すためには、国内における民主化運動の展開のみならず、北朝鮮との間での平和的関係の構築が必要である。こうして朝鮮半島とその周辺に平和がもたらされれば、アメリカに依存しない体制が可能になる。

結果、アメリカに支援される保守派の支配は終わり、「国民」が支配する「真の韓国」が実現できる──と。


地方政治家として実績を積む

だからこそ、盧政権や文政権においては、このような世界観の下で北朝鮮との対話が試みられると同時に、保守派への厳しい糾弾が行われた。そして、この中において「韓国国内の歴史認識問題」が繰り返し提起され、日韓関係をむしばんだ。

盧政権から文政権につながる人々は、こうした国内政治から国際関係までを一つの大きな世界観で理解し、それに基づいて自らの政治を展開していた。だからこそ、そこには一定の原則があり、故にその原則を理解すれば彼らの行動を予測することもできた。

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