韓国大統領選の事前投票、歴代2位を記録 「中国人探し」など差別行為や管理トラブルも続出

大統領選をリードするイ・ジェミョン候補が事前投票を行った。この後この投票所ではとんでもないトラブルが…… Yonhap REUTERS
<「不正選挙監視」を名目に中国系住民を標的とした差別的行為が発生するなどのトラブルが......>
第21代韓国大統領選挙の事前投票が2日間の日程を終了し、初日の投票率が19.6%と過去最高を記録、最終投票率は34.74%を記録した。これは前回大統領選挙(36.9%)より2.19ポイント低いものの、事前投票制度導入以来歴代2番目に高い投票率となった。
韓国メディアの報道によると全体有権者4,439万人余りのうち1,542万人余りが事前投票に参加した。地域別では全羅南道(56.50%)が最も高く、全羅北道(53.01%)、光州(52.12%)が続いた。一方、大邱(25.63%)が最も低く、釜山(30.37%)、慶尚北道(31.52%)などが下位を記録した。首都圏ではソウル34.28%、京畿32.88%、仁川32.79%だった。
相次ぐ管理トラブルが社会問題化
しかし、事前投票期間中にさまざまなトラブルが発生し大きな論争を巻き起こすこととなった。一番問題とされたのが排外的な「中国人探し」議論だ。
事前投票2日目の先月30日昼12時頃、ソウル市東部クァンジン区のある住民センター。黒いジャージ姿の30代の男性が投票所の出入り口の前を注視していた。彼は「中国人のような人々が来るのか気になって個人的に確認中」と話した。同様の行動は他の地域でも見られた。ヨンドゥンポ区内の投票所では、不正選挙の監視を主張する人々が、一部の有権者に声をかけ、韓国語の能力を確認して中国人を探しだす行動が問題となった。
SNSやネットの掲示板では「中国人が投票に参加している」という主張と共に事実関係が不確実な映像と掲示物が急速に広がっていた。特に中国企業バイトダンスが運営するTikTokの中国版アプリである「ドウイン」で投票用紙を手に持ったまま撮影した場面、投票所内部とおぼしき場所で撮影された映像などが中国人投票主張の根拠として使われている。
あるX(旧ツイッター)ユーザーは投票用紙の写真とドウインアカウント画面を共に掲載し「中国人と疑われる者が投票用紙を撮影してアップしている。(外国人が投票するのは)違法であることを知りながらも掲載する状況は深刻な問題」という主張を展開した。また別のユーザーは「中国人が投票所をライブ放送している」として「なぜしきりに事前投票をしろと言うのか」として強い不信を表わした。
このような投稿には「事前投票場を監視しに行こう」「中国人を捜し出そう」というようなコメントが列をなした。一部の利用者は有権者に声をかけ「韓国語能力をテストしたり、外見などをチェックして中国人かどうかを推定して撮影しよう」という主張まで出していた。