何とか学生を確保しようと、入学試験が形骸化している大学も少なくないだろう。最近では一般入試の他に、AO入試、総合型選抜、学校推薦等、いろいろな制度が導入されている。入試の多様化だが、その度合いはランクによって違っている。178私立大学の682学部について、入学者に占める一般入試経由者の割合を計算し、偏差値グループ別に分布をとると<表2>のようになる。
偏差値グループによって、分布にはかなりの差がある。F群では、一般入試経由者の割合が10%に満たない学部が52.4%(半分)を占めている。ランクを上がるにつれ、分布の山は下の方にシフトし、A群だと半分以上の学生を一般入試で選抜している学部が大半になる。
入試の多様化は、学力だけでは測れない資質・能力を見極めるためのものだが、ランクによってこうも違い(偏り)があると、入試の形骸化を招いているようにも思える。面接で志願者が同意すれば合格という「アグリーメント入試」を実施した大学が、文科省の是正指導の対象になったこともある。その結果として、授業内容が中学レベルの大学も出てくる始末だ。
今では高等教育の質の確保に重きが置かれ、定員充足率が一定水準に満たない大学は、国の高等教育修学支援策の対象外だ。私学助成金も減額される。肥大化した高等教育も構造変化を迫られることになるだろう。
<資料>
旺文社『大学の真の実力2025』
ベネッセ『マナビジョン』