最新記事
関税戦争

対中関税引き下げに騙されるな...能無しトランプの場当たり的な「素人芝居」に振り回される企業の悲哀

The Amateur Hour Presidency: Tariffs, Trade, and the High Cost of Chaos | Opinion

2025年5月14日(水)13時40分
アロン・ソロモン
中国との関税政策戦争を90日間停止したのは、関税戦争のツケが目に見えてきたから?

中国との関税政策戦争を90日間停止したのは、関税戦争のツケが目に見えてきたから? Pszczola-shutterstock

<米中貿易戦争を90日間停止することを発表したトランプだが、戦略的思考に基づいていない以上、喜ぶべきではないのかも>

アメリカの通商政策はまるで週末のガレージセールのようだ。価格は時間ごとに変動し、ルールは場当たり的に作られる。だがガレージセールと違うのは、アメリカの通商政策は、誰が仕切っているのかすら誰にも分かっていない点だ。

5月12日にアメリカと中国が90日間の関税戦争停止で合意したというニュースは、一見するとドナルド・トランプ米大統領の進歩のように見えるかもしれない。しかし、その外交的演出に騙されてはいけない。


今回の合意は、経済政策の一環でもなければ、戦略的判断でもない。リーダーシップを装ったただの場当たり的な演出であり、その代償はアメリカの製造業者、消費者、そして輸入業者が支払わされる。

発表された合意内容を詳しく見てみよう。アメリカと中国は、関税戦争の一時的な停戦に合意した。両国の貿易摩擦は幼児が癇癪を起こすときよりも急速に激化していたが、今後90日間、互いに課していた報復関税を緩和することになる。

アメリカは中国からの輸入品に課していた度肝を抜くような145%の関税を30%に引き下げる(依然として破壊的に高水準だが)。一方の中国は、アメリカからの輸入品に対する報復関税を125%から10%に引き下げる。

では、90日後にはどうなるのか? それは誰にも分からない。

さらなる混乱がもたらされるかもしれないし、新たにX(旧ツイッター)や「真実」という名のSNS(トゥルース・ソーシャル)に何らかの投稿がなされるかもしれない。あるいは、新聞の見出しを飾るような記者会見が行われるかもしれない。誰が予測しても同じようなものだ。

座談会
「アフリカでビジネスをする」の理想と現実...国際協力銀行(JBIC)若手職員が語る体験談
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ギリシャ26年度予算案、2.4%の経済成長見込む 

ワールド

幹事長に鈴木氏、政調会長には小林氏 自民党四役が正

ワールド

トランプ政権、不法移民を再びエスワティニに送還 取

ビジネス

フォードのサプライヤーで火災、事業に数カ月間影響へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 2
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレクションを受け取った男性、大困惑も「驚きの価値」が?
  • 3
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿すると「腎臓の検査を」のコメントが、一体なぜ?
  • 4
    一番お金のかかる「趣味」とは? この習慣を持ったら…
  • 5
    筋肉が育つだけでは動けない...「爆発力」を支える「…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃の「オーラの違い」が話題…
  • 7
    「不気味すぎる」「昨日までなかった...」ホテルの天…
  • 8
    監視カメラが捉えた隣人の「あり得ない行動」...子供…
  • 9
    「美しい」けど「気まずい」...ウィリアム皇太子夫妻…
  • 10
    プーチン側近のマッド・サイエンティストが「西側の…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 7
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 8
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 9
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 10
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 7
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 8
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中