最新記事
ローマ教皇

新教皇レオ14世は「常識破り」...トランプ批判も辞さない、初のアメリカ人教皇が選出された舞台裏とは

The New American Pope

2025年5月13日(火)14時30分
モリー・オルムステッド(スレート誌記者)
サンピエトロ大聖堂のバルコニーで挨拶をするレオ14世

サンピエトロ大聖堂のバルコニーで挨拶をするレオ14世 GUGLIELMO MANGIAPANEーREUTERS

<5月8日、史上初のアメリカ人教皇が誕生した。穏健派でトランプ政権を批判していた新教皇は、なぜ選出され、どのような未来を創り出していくのか>

バチカンのサンピエトロ大聖堂のバルコニーに立ったその人はほほ笑み、正面のサンピエトロ広場で歓声を上げる群衆に挨拶をした。史上初のアメリカ人教皇が誕生した瞬間だった。

5月8日午後、ローマ・カトリック教会の新たな最高指導者に、シカゴ出身のロバート・プレボスト枢機卿が選出された。教皇名はレオ14世だ。


69歳のプレボストは穏健派の次期教皇候補と見なされていた。バチカン政治における確かな実務手腕を持ち、前教皇フランシスコと同様、移民や貧困層に寄り添う。女性の立場やLGBTQ(性的少数者)の権利についてはより保守的で、教会内の伝統派に寛容な姿勢を示しそうだ。

映画『教皇選挙』で、スタンリー・トゥッチが演じたアメリカ人のベリーニ枢機卿に例える声も上がったが、正確な比喩とは言えない。押しが強いベリーニと違って、プレボストは前教皇より慎重で現実的な人物といわれている。

改革路線の継続を示唆

何よりも今回の教皇を選出する選挙「コンクラーベ」の結果は、リベラル路線の強化でも保守への揺り戻しでもなく、継続性を打ち出すものと受け止められる。新教皇はサンピエトロ大聖堂のバルコニーでの演説で、カトリック教会は「橋を架ける」べきで、「どんな人も受け入れる」と語った。明らかに、フランシスコが導入した改革を受け継ぐ意思を示すシグナルだ。

がん検診
がんの早期発見を阻む「金額の壁」を取り払う──相互扶助の仕組みで「医療格差の是正」へ
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

即時利下げ必要ない、11月会合はデータ注視へ=豪中

ワールド

米印、週内に通商協議 米産エネルギー輸入確約へ=関

ワールド

インドCPI、9月は前年比+1.54%に鈍化 8年

ワールド

マクロスコープ:流動する政界、高市氏と玉木氏の「極
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 3
    メーガン妃の動画が「無神経」すぎる...ダイアナ妃をめぐる大論争に発展
  • 4
    車道を一人「さまよう男児」、発見した運転手の「勇…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    筋肉が目覚める「6つの動作」とは?...スピードを制…
  • 7
    連立離脱の公明党が高市自民党に感じた「かつてない…
  • 8
    1歳の息子の様子が「何かおかしい...」 母親が動画を…
  • 9
    ウィリアムとキャサリン、結婚前の「最高すぎる関係…
  • 10
    あなたの言葉遣い、「AI語」になっていませんか?...…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 4
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    トイレ練習中の2歳の娘が「被疑者」に...検察官の女…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中