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【就任100日】「異なる世界線」の妄想を好むトランプ...批判派も評価していた政治的洞察力は何処へ

The Emperor Has No Instincts | Opinion

2025年5月2日(金)17時50分
トム・ロジャーズ

物価対策を訴え大統領になったのに物価高を加速させる

特に注目すべきは、インフレと消費者物価の引き下げという公約だ。大統領選をごく僅差で制することができたのは、この公約によるところが最も大きい。

大統領選当時、副大統領だったカマラ・ハリスは、経済政策に関する明確なメッセージを提示する能力に欠け、重要なスイング・ステート(激戦州)の有権者を納得させることができなかった。ハリスは、バイデン政権がインフレとの戦いであげた成果や、トランプ陣営が提案していた政策が再びインフレを引き起こすことが明白である点について、十分に言及しなかった。


トランプはバイデン政権の経済を「完全な大惨事」と誇張して表現していた。しかし、トランプの洞察は正しかった。消費者物価の高騰に多くの国民が不満を抱いており、それによって彼らを味方につけられたのだ。

こうして、トランプは食料品やその他の消費財の価格高騰を争点に、僅差で選挙に勝利した。そして大統領就任から約75日後、大規模な関税を課すという政策を発表した。

狙いが何だったにせよ、その結果、物価は大きく上がり、インフレが引き起こされた。政権発足からほとんど間を置かずに、トランプは自らの政治的成功の核心であった公約を180度転換する選択をしたのだ。

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