最新記事
日中関係

中国は「世界一安全」神話...中国渡航の危険度、日本以外の国はどう評価している?

2025年4月25日(金)18時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

こうした警告を出している多くの国が根拠としているのは、法律の恣意的な運用や、それに起因する不当拘束だ。


中国渡航の危険度レベルの理由を見ると、アメリカは「出国禁止を含む現地の法律の恣意的な施行」としている。

オーストラリアも「中国当局は『国家安全保障を脅かす』という理由で外国人を拘束している。恣意的な拘束や、広義の国家安全保障法を含む現地法の厳格な執行を受けるリスクがある」と、中国の不透明な法執行をリスクとして挙げる。

危険度レベルを最も高く評価する台湾は「中国共産党の関係部門により台湾人が不法に拘留、拘束、尋問される事件が多数発生している。中国本土、香港、マカオに旅行する台湾人の身の安全が深刻な脅威にさらされている」とまで記載している。

イギリスドイツといった国も、中国渡航時のリスクとして、恣意的な法律の運用やそれに起因する出国禁止措置を挙げている。

日本の外務省も、中国の危険情報のページに「国家安全に危害を加える」とされる行為によって拘束、起訴される恐れがあるといった旨を記載しているが、アメリカや台湾などと比べたらロートーンだ。

中国が自国の安全神話を守り、人的交流を積極的に行いたいというのであれば、日本より先に非難すべき国はいくらでもあるのではないか。

習近平(シー・チンピン)国家主席は2021年5月、中共中央政治局・第30回集団学習会の中で「『可信、可愛、可敬』(信頼され、愛され、尊敬される)な中国のイメージを創り上げていかなければならない」と発言した。修学旅行の際の注意喚起程度で激昂するのならば、中国が真の意味で信頼され、愛され、尊敬される日はまだまだ先の話だろう。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

日銀、政策金利を現状維持:識者はこうみる

ワールド

ウクライナ南部オデーサに無人機攻撃、2人死亡・15

ビジネス

見通し実現なら利上げ、不確実性高く2%実現の確度で

ワールド

米下院、カリフォルニア州の環境規制承認取り消し法案
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中