最新記事
兵器

「気づいたら仰向けに倒れてた...」これが音響兵器「LRAD砲」の威力? セルビアで撮影された「衝撃の映像」が話題に

2025年3月19日(水)17時30分
イサベル・バン・ブルーゲン
ベオグラードで3月15日に行われた反政府デモの様子

@DropSiteNews/X

<首都ベオグラードで行われた反政府デモで軍用レベルの音響兵器が使用されたとSNSでは映像が拡散されているが、セルビアのブチッチ大統領は完全否定>

セルビアの首都ベオグラードで3月15日に行われた反政府デモで、集まった数十万人に対して警察が軍用レベルの音響兵器「LRAD砲」を使用したとして非難の声が上がっている。アレクサンダル・ブチッチ大統領はそうした非難を一蹴した。

【動画】「気づいたら仰向けに倒れてた...」音響兵器「LRAD砲」の威力? セルビアで撮影された「衝撃の映像」が話題に

SNSに投稿された映像には、15分間の黙祷の最中、突如としてデモ参加者が散り散りになる様子が映っている。本誌はセルビアの外務省に電子メールでコメントを求めた。

セルビアの人権団体は、禁止されている音響兵器がこの週末に使用されたとして懸念を示している。

バルカン・インサイト(Balkan Insight)の17日の報道によると、ベオグラード大学医学部の学生はセルビア救急センターの臨床センター前で抗議運動を展開。15日の大規模集会後に症状を訴えて入院した患者について、「音響爆発」の被害に遭った可能性があると訴えて正確な情報を要求した。

ブチッチ大統領は国民に向けた演説の中で、15日にベオグラードで行われた大規模集会でLRAD(いわゆる音響兵器)が使われたというのは「卑劣な嘘」と決めつけた。

ブチッチ大統領と政権に対する反政府デモは、腐敗に抗議する全国的な運動の一環として行われ、数十万人が参加した。抗議運動が始まったのは、セルビア北部の鉄道駅で昨年11月にコンクリート製の屋根が崩落し、15人が死亡した事故がきっかけだった。

抗議デモに参加したマリヤ・シミン(Marija Simin)さんはバルカン・インサイトの取材に対し、聞き慣れないジェットエンジンのような「不自然な」音が聞こえ、強い突風が続いたと振り返る。

「お互いに顔を見合わせて『何これ?』という時間しかなかった」という。シミンさんは地面に倒れ、参加者たちは一斉に歩道の方へ移動し始めた。

「自分が仰向けに倒れるのを感じた。骨盤を縁石にぶつけたらしい。私は鉄柱で頭を打ち、友人は私の上に倒れてきた。ほかの人も」

そう語るシミンさんは、その後医療機関を受診して背中の痛みの薬をもらったという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

G7、中東情勢が最重要議題に 緊張緩和求める共同声

ワールド

トランプ氏、イスラエルのハメネイ師殺害計画を却下=

ワールド

イスラエル・イランの衝突激化、市民に死傷者 紛争拡

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中