「カナダのトランプ」が失速した原因は本家トランプ?

Trump Shoots Himself in the Foot

2025年3月18日(火)17時10分
ケビン・イン

カナダの主権と経済を脅かす言動によって、トランプは保守党が選挙で勝てる確率を大幅に減らし、もし勝ったとしても彼らがアメリカに友好的な姿勢を示す余地を狭めてしまった。

トランプのやり方が外交の慣例や手続きを無視し、政府機関の意向も無視しているのは周知の事実だが、カナダに対する脅迫や侮辱はトランプ自身の内なるロジック(つまり、自己利益ファースト)に照らしても筋が通らない。


トランプは何としてもウクライナへの支援をやめ、対外援助を減らし、欧州各国の極右勢力を支援していきたい。そうであれば、隣国カナダのように国際社会で良識派として知られる国を敵に回すのは得策ではないはずだ。

カナダを怒らせただけ

カナダ保守党の支持基盤には、人口の4分の1近くをウクライナ系住民が占める場所もある。だから簡単にウクライナを見捨てることはできない。しかしカナダ国内では全般にウクライナへの関心が薄れつつある。だからポワリエーブルが政権を取れば、ある程度まではウクライナ支援の削減や停止を受け入れる余地もあった。

国防は各国の責任(アメリカとの同盟関係に頼るな)であり、言論の自由は絶対(嘘でも言った者勝ち)というのがポワリエーブルの持論。それはイーロン・マスクや米副大統領J・D・バンスの世界観に通じるし、欧州における極右勢力の思考回路とも重なる。だから彼が首相になれば、カナダが欧州における民主主義の危機を憂いたり、NATO諸国の結束を訴えたりすることはなくなるはずだった。

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