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「祖国には戻らない」若者たちの苦悩と選択──戦火のウクライナ、広がる兵役逃れの実態

DRAFT DODGING PLAGUES UKRAINE

2025年2月25日(火)10時33分
尾崎孝史(映像制作者、写真家)

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東部の病院で。多くの人が徴兵免除の障害認定を求めて来ていた(24年7月) TAKASHI OZAKI

20代の青年セルゲイ(仮名)が相談したのは、欧州に避難していた母だ。母は息子が幼い頃、頭部に軽い障害が起きたのを思い出し、「実家に母子手帳があったはず」とセルゲイに伝えた。

新動員法には「障害者、あるいは軍事医療委員会により兵役がこなせないと診断された者」の免除規定がある。これを使って息子の軍登録を解除し、自分がいる欧州へ脱出させられないか──。一人息子のことを思う母の企てにセルゲイも同意した。

母子手帳はウクライナ中部の祖母の家で見つかった。5月末、セルゲイは筆記体のキリル文字で埋め尽くされた手帳を持って、最寄りの病院に駆け込んだ。医師は頭部の検査を受けるよう指示をした。

6月29日、頭部のレントゲン画像を胸に抱え、セルゲイは再び病院に向かった。診断を終え、医師から渡された「ウクライナ保健省承認済み命令書」には、「検査結果 脳に軽度のてんかんの跡あり」との所見が記されていた。


タイムリミットの7月16日まであと17日、セルゲイはこの書類を武器に交渉を試みることにした。

7月12日、彼は臨時徴兵事務所が設置された出身地の街に向かった。面会を予定していたのは事務所職員のA氏。本業の傍ら、フィクサーとして徴兵免除希望者の相談に乗っていた人物だ。この日、多忙を極めるA氏は姿を見せず、出直した18日に事務所近くの病院で面会した。

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