不動産危機・中国の次のリスクはZ世代の節約志向...「内巻」が続けば「ディスインフレが強まる」
深セン市在住の高校英語教師、リリー・リーさん(26)は、9月に現在の職に就いたばかりだが、1万元を超える月給の80%を貯金し、洋服やコンサートチケットなど不要不急の支出を大幅に減らしている。
彼女は会社勤務を希望していたが、安定性を求めて学校の教師になった。2、3年後には別の仕事を探そうと考えているが、見つかるかどうかは分からないと語る。
人生を最大限に楽しむというミレニアル世代の哲学とは異なり、中国のZ世代は「実存的不安」を抱えており、その不安は同国の経済停滞とともに深まるばかりだ。
最近まで、Z世代は「躺平(寝そべり)」という言葉を使って「内巻」に見舞われた社会を嘆いていた。内巻とは、無意味な競争環境に閉じ込められて抜け出せなくなる状態を指す。
寝そべりという流行語は、敗北主義をたたえる「喪」文化や、人生に対する無関心な態度を指す「仏系(仏教系)」若者の登場を経て生まれた。
香港のナティクシスのシニアエコノミスト、ギャリー・ン氏は「『内巻』の傾向が続けば、企業は縮小する需要を奪い合って価格競争が激化し、ディスインフレが強まる可能性がある」とし、「このように消費が抑制されれば、中価格帯の製品やサービスが空洞化しかねない。中国の長期潜在成長率は鈍化するだろう」と予想した。
17日に発表された中国の2024年のGDP成長率は5.0%。しかし今後2年間で成長率は鈍化すると見込まれている。


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