プラごみの海に沈む地球を救う方法...「たった4つの政策」で廃棄は90%減できる

SOLVING THE PLASTIC PROBLEM

2024年12月18日(水)15時26分
ジェフ・ヤング(環境・サステナビリティー担当)

サンフランシスコのリサイクル施設

サンフランシスコのリサイクル施設 JUSTIN SULLIVAN/GETTY IMAGES

人類によるプラスチックの使用量およびプラごみの量を正確につかむのは難しい。20年に発表されたある推計によれば、これまでに製造されたプラスチックの総重量は地球上の動物全ての重さの2倍になるという。

国連環境計画(UNEP)の試算では、世界で1年間に製造されるプラスチックのうち、包装資材やボトルや袋など使い捨てされる製品が占める割合は実に3分の1。それが大量のごみとなって川や海に流れ込むわけだが、数十年、下手をすれば数百年も分解されずに残ってしまう。


国際自然保護連合(IUCN)は、海に流れ込むプラスチックの量が年に1400万トンに上るとみている。これは海洋ごみの80%に相当する。

海の食物連鎖を揺るがす危機

カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)のダグラス・マッコーリー教授(海洋学)が問題の深刻さを悟ったのは、太平洋のはるか沖の島々で海鳥の巣からプラごみを採集した時だった。

「プラスチック汚染は海の新たな癌と言えるほどに深刻化していると思う」とマッコーリーは述べた。「クジラたちはプランクトンと一緒に、1日に何百万粒ものマイクロプラスチックをのみ込んでいる」

大型動物への影響もさることながら、マッコーリーが懸念しているのは、海の食物連鎖の一番下にいる小さな海洋生物への影響だ。

「食物連鎖の土台部分が失われたらどうなるか見当もつかない。そうした生き物がマイクロプラスチックやナノプラスチックの影響を受けているのはほぼ間違いない」と彼は言う。「海の未来は危機に瀕していると言っても過言ではないと思う」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシア、イラン・イスラエル仲介用意 ウラン保管も=

ワールド

イラン核施設、新たな被害なし IAEA事務局長が報

ビジネス

インド貿易赤字、5月は縮小 輸入が減少

ワールド

イラン、NPT脱退法案を国会で準備中 決定はまだ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中