最新記事
韓国

韓国・戒厳令は「本気ではなかった」?...すっかり居直った尹錫悦大統領の主張とは?

Defiant Yoon Vows to Fight On

2024年12月17日(火)14時50分
ミッチ・シン(ディプロマット誌韓国特派員)
12月12日のテレビ演説で非常戒厳は正当な措置だったと訴える尹錫悦大統領

12月12日のテレビ演説で非常戒厳は正当な措置だったと訴える尹大統領 KIM JAE-HWANーSOPA IMAGESーREUTERS

<謝罪から一転、野党による政治運営妨害を「国民に知らしめたかっただけ」と言い始めたクーデター大統領は今後どうなる?>

二転、三転。韓国大統領・尹錫悦(ユン・ソンニョル)の発言は大きく揺れたが、ついに14日の国会で弾劾訴追議案が可決された。与党から少なくとも12人が造反して賛成票を投じた結果だ。

■【尹大統領独占インタビュー】戒厳令48日前に見せた焦り...「私にはもう十分な時間がない」

12月12日、尹は国民に向けてテレビ演説を行った。4日未明に「非常戒厳」の解除を発表し、7日に「謝罪」を口にして以来のことだが、今度は戒厳宣布の責任を全面的に最大野党の「共に民主党」に押し付けてみせた。


7日の謝罪スピーチは2分に満たなかったが、今回は30分近い大演説。しかも「戒厳宣布を内乱呼ばわりする最大野党の行為は狂乱の剣舞」だと非難し、「国政を麻痺させ国の憲法に背いているのはどちらか」と国民に問いかけた。

7日の謝罪は1回目の弾劾採決を数時間後に控えて行われたもので、国政の安定を最優先して今後のことは全て与党「国民の力」に一任すると述べ、任期途中の退陣もほのめかしていた。

しかし同日の採決では与党議員が一斉に退席し、規定により弾劾は廃案となった。翌8日、国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は党の方針を発表。数カ月以内に尹を「秩序ある早期退任」に導くと約束し、それまでは党と首相が大統領に代わって国政を担うと述べた。

だが12日の演説で尹は辞任を否定。非常戒厳の宣布は「統治行為」であり「司法審査の対象にはならない」とし、自らを内乱の「首謀者」とする野党の主張に反論した。その前日には与党重鎮の尹相鉉も、尹による戒厳宣布は政治の行為だから処罰の対象になり得ないと論じていた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ブラジルの対米輸出、全体の35.9%に50%関税適

ワールド

米が対カナダ関税35%に引き上げ、カーニー首相「失

ビジネス

印マルチ・スズキ、4─6月期は予想外の増益 輸出好

ワールド

IMF理事会、アルゼンチン向け融資20億ドルの実行
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから送られてきた「悪夢の光景」に女性戦慄 「這いずり回る姿に衝撃...」
  • 4
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 5
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 6
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 7
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 8
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 9
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 10
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 9
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 10
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中