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尹大統領はどこまで「読めていた」のか? 計画的かつ無謀な戒厳令の「裏側」...死刑の可能性も

A DICTATOR AT HEART

2024年12月14日(土)17時04分
イ・ユンウ(ライター)

戒厳令に関する決定権を持つ3人は同じ高校の出身

数カ月前、特殊作戦司令官、首都防衛司令官、防諜司令官、大統領警護庁トップの金龍顕(キム・ヨンヒョン)が会合を開いたことが明らかになり、ちょっとした騒動になった。李祥敏(イ・サンミン)行政安全部長官も防諜司令部を訪問した。それでも当時は、誰もが首をかしげる程度だった。

しかし、確かに何かが企てられていた。尹はその後、大統領警護庁トップの金を国防相に任命した。戒厳令法では、国防相と内相だけが大統領に戒厳令を提案できる。偶然にも、戒厳令に関する決定権を持つ3人は同じ高校の出身だ。戒厳令発令を受けて捜査機関を指揮・統制する防諜司令官も、同じ高校を出ている。


尹の戒厳令宣布は計画的で、大統領府の主張とは異なり違憲だ。大統領が戒厳令を発動できるのは、戦争や災害といった国家非常事態下、あるいは公共の平和と秩序を維持する緊急の必要性がある場合に限られる。政治的な報復や、家族や側近を法的責任から逃れさせることは、明らかに国家非常事態に該当しない。

尹の戒厳令は短時間に終わったものの、後に大統領になった全斗煥(チョン・ドゥファン)が1980年に全土に出した戒厳令以上のものを目指していた。

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