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尹大統領はどこまで「読めていた」のか? 計画的かつ無謀な戒厳令の「裏側」...死刑の可能性も

A DICTATOR AT HEART

2024年12月14日(土)17時04分
イ・ユンウ(ライター)

尹は死刑になる可能性も

尹の戒厳令を受けて発表された布告令では、「国会、地方議会、政党の活動、政治的結社、集会、デモなど一切の政治活動」が禁止された。韓国の法律は、大統領の戒厳令を議会が多数決によって解除する権利を認めている。これは戦時下においても侵害されない。そのため戒厳司令官は、撤回要求を行う権利を有する国会を麻痺させることはできない。しかし、今回の布告はその全てを踏みにじった。

布告令の発表後、警察は国会の正面入り口前にバリケードを築き、議員の投票を妨害した。武装兵は市民と衝突し、国会に突入。特殊任務部隊は、政党の党首や議長を逮捕しようとした。幸い、多くの議員が武装兵を避けてフェンスを乗り越え、国会内に入って投票を行った。そうしていなければ、違法な戒厳令は継続していただろう。


尹は言葉でも行動でも、憲法上の正当な手続きを覆そうとした。これは軍事クーデター未遂だ。尹には死刑が科される可能性もある。

当初は国中が悲嘆に暮れていたが、今や国民は街頭で、議員たちは議会で監視の目を光らせている。予測不可能な大統領が存在する限り、安穏としているわけにはいかない。

尹は「人類普遍の価値」や、「グローバル中枢国家」たる韓国の地位を称賛していた。尹が心からそれらを大切にしているのなら、ジミー・カーター元米大統領の言葉を彼に贈りたい。「他国の自由を促進する最善の方法は、わが国の民主主義制度が模範に値するものだと実証することだ」

From thediplomat.com

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