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尹大統領はどこまで「読めていた」のか? 計画的かつ無謀な戒厳令の「裏側」...死刑の可能性も

A DICTATOR AT HEART

2024年12月14日(土)17時04分
イ・ユンウ(ライター)

強気で傲慢で短気な指導者

尹のロールモデルは李承晩だけではない。李の後の2人の独裁者も尹は称賛してきた。一方で、検察官時代には2人の元大統領を含む大物政治家の投獄を指揮した。

尹が強気で、傲慢で、短気で、周囲を従わせないと気が済まないことは周知の事実だ。大統領として妥協や謝罪を強いられると、耐え難いほどのいら立ちがあらわになる。


戒厳令に先立ち、尹のスキャンダルの中でも特に悪質なものについて次々と証拠が発覚していた。それは大統領、大統領夫人、個人的利益のために国政を操る世論操作の専門家を中心とした、与党内の見返りで結び付いた関係だ。李の時代と同じように、尹の無分別な統治を非難する人々は「親北朝鮮」「反国家」分子として退けられた。

「共に民主党」をはじめとする野党は、大統領の側近に対する弾劾訴追を発議し、彼の妻を捜査する特別検察官を任命するための法案を可決するなど、尹を追い詰めた。窮地に立たされ我慢の限界に達した尹にとって、大統領の究極の特権である戒厳令はこれ以上なく魅力的な選択肢だった。医師のストライキによる医療危機を抑え、野党の予算減額案に対抗するというのは、口実にすぎなかった。

戒厳令発令の兆候はいくつかあった。私たちはそれに気付いていたが、それでも戒厳令の可能性はないと考えていた。

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