最新記事
サイバー攻撃

サイバー警察局・サイバー特別捜査部の発足から2年半、サイバー特別捜査部による捜査の実態とは?

2024年12月12日(木)17時17分
山田敏弘(国際ジャーナリスト)

──サイバー特別捜査部は2022年4月に、国の捜査機関として全国または世界で警察活動をすることを目的に発足したが、サイバー特別捜査部やこれを指導監督するサイバー警察局はうまく機能しているか。

国の直轄機関であるサイバー特別捜査部(当時サイバー特別捜査隊)ができたのは2年半前です。私がサイバー警察局のサイバー捜査課長に着任してから1年半ですが、サイバー捜査課が指導監督するこのサイバー特別捜査部は、国内のサイバー犯罪のみならず、世界中で被害が多く出ているランサムウェア攻撃の被疑者を外国の捜査機関と協力して検挙するなどしています。また、サイバー攻撃に関連して行われる外国からと思われる影響力工作(ネット上の情報などを操作することで自国の影響力を高めたり、相手国を混乱させたりするような行為)についても、必要な捜査をしています。

日本の警察では、伝統的に47都道府県警察が犯罪の捜査をして、国すなわち警察庁は犯罪の捜査をしないとされてきました。「国は都道府県警察の指導調整役」という建て付けは岩盤だったので、2022年に国直轄の捜査機関としてサイバー特別捜査隊を設立し、これをサイバー警察局が指導監督するとしたことは、その岩盤を崩すという意味で極めて画期的なことで、当時、相当慎重に制度設計が行われ、丁寧な議論がなされてきました。サイバー特別捜査隊が設置され、これがサイバー特別捜査部へと格上げされる中で、着実に成果を上げており、日本のサイバー警察はうまく機能しつつあると言えます。

──国の実働部隊であるサイバー特別捜査部については、当初から、規模が小さいのではないかという声もあったが、現在、人員は足りているのか。

現在、サイバー特別捜査部は130人規模で、これまでも少しずつ増員していますが、さらに人員は増やしていきたいと考えています。各都道府県警察から出向している職員、国採用の警察官やデジタルフォレンジックのプロである技官などがいます。

民間の任期付き登用については、これまで警察では民間人材の方に来ていただいても、証拠などを直接取り扱う犯罪捜査には携わってもらわないという不文律がありました。ですが、サイバー特別捜査部では、こうした民間人材の方にも警察官として実際の犯罪捜査をしてもらうようにしました。実際に押収した証拠の分析や解析も行ってもらっています。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

再送-米、ロ産石油輸入巡り対中関税課さず 欧州の行

ワールド

米中、TikTok巡り枠組み合意 首脳が19日の電

ワールド

イスラエルのガザ市攻撃「居住できなくする目的」、国

ワールド

米英、100億ドル超の経済協定発表へ トランプ氏訪
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く締まった体幹は「横」で決まる【レッグレイズ編】
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 2
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中