最新記事
ICC

国際刑事裁判所がミャンマー国軍総司令官に逮捕状請求 ロヒンギャ迫害で

2024年11月28日(木)10時48分
ミャンマーのミンアウンフライン国軍総司令官

11月27日、オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は、ミャンマーのミンアウンフライン国軍総司令官(写真)の逮捕状を請求する意向を明らかにした。2021年3月、ネピドーで撮影(2024年 ロイター)

オランダ・ハーグにある国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は、ミャンマーのミンアウンフライン国軍総司令官の逮捕状を請求する意向を明らかにした。ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャに対する迫害に関する人道上の犯罪が理由だ。

ミャンマー国軍が2017年8月に開始した攻撃作戦を逃れるため100万人に上るロヒンギャが国外に避難し、その大半はバングラデシュの難民キャンプに向かった。

国連の調査団は、こうしたミャンマー国軍の行動は典型的なジェノサイド(民族大虐殺)とみなし、兵士や警察官、仏教徒らが西部ラカイン州にあった数百カ所のロヒンギャ集落を破壊し、住民を拷問したり、大量殺人や集団レイプに関与したりしたと主張している。

ミャンマー政府は国連の見解を否定した上で、警察の拠点を攻撃した民兵に対する治安部隊の正当な作戦実行だと反論している。

バングラデシュの難民キャンプで暮らすロヒンギャのある男性は「ミンアウンフラインは何の罪もないロヒンギャに対するジェノサイドを指揮した責任がある。彼の命令で国軍は何千ものロヒンギャを殺し、数え切れない女性や少女がおぞましい性的暴行にさらされた」と訴えた。

ICCの捜査を支援してきた国連独立調査団トップのニコラス・クムジアン氏は、ミャンマー国軍総司令官の逮捕状請求について「法を超越できる犯罪者はいないという強いメッセージを送ることになる」と説明した。

今後はICCの裁判官3人で構成する法廷が、ミンアウンフライン氏のロヒンギャ迫害に関する犯罪に責任があると認定すれば、逮捕状が正式に発効する。

ミャンマー側はロイター宛の声明で、同国はICCに加盟しておらず、ICCの発表を認識していないとコメントした。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



投資
「FXで長期投資」という投資の新たな選択肢 トライオートFX「世界通貨セレクト」とは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=反発、アマゾンの見通し好感 WBDが

ビジネス

米FRBタカ派幹部、利下げに異議 FRB内の慎重論

ワールド

カナダはヘビー級国家、オンタリオ州首相 ブルージェ

ビジネス

NY外為市場=ドル/円小動き、日米の金融政策にらみ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中