なぜプーチンは長期政権を維持できるのか...意外にも、ロシア国内で人気が落ちない「3つの理由」

2024年11月15日(金)13時57分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

政治的権威のバックに宗教的権威を見せる

ロシアの政治には、人権意識の低さも指摘されています。統一ロシアは西側諸国のような市場経済をある程度支持している一方、言論弾圧やメディアへの規制が強く、2013年にはLGBTQであると表明することを禁じる「ゲイ・プロパガンダ禁止法」が成立。

2023年には「性的マイノリティの自由と権利を求める運動? そんな奴らは過激派だ」とし、ロシア国内での活動を禁じています。多様性の時代、「古き良き家族主義に回帰しよう」と訴えているのです。

<権威主義ロシアである理由3 :「ロシア正教会」の影響>

3つ目の理由は、ロシア正教会の存在です。

ロマノフ朝の帝政時代から、ロシアでは皇帝は正教会を権威付けに使ってきました。ローマ・カトリックと違い、国ごとに正教会が分かれているため、国の政治的権力と結びつきやすかったのです。

プーチン大統領も、正教会と密接な関係を築くことで、自らの権力基盤を強固にしてきています。政治的権威のバックに宗教的権威をも見せることで、権威主義的な政治がより強化されているのです。

ポスト・プーチンはどうなる?

社会主義の時代から教育費が無償だったこともあり、ロシアの人々の知的レベルは平均的にかなり高い。国の強力な支援によってスポーツでも研究でも飛び抜けて優秀な人が育っており、学問も盛んでした。米国に続き核兵器開発には成功。

宇宙開発は近年まで世界を先導してきました(ウクライナ侵攻で他国がロシアとの宇宙開発の協力から手を引くといった悪影響が出ているようです)。このところ医療については後塵を拝していますが、ソ連・共産党時代に開発したポリオワクチンは、日本でも使われていたほどでした。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:アフリカ地域決済システムが前進、課題は「

ワールド

アングル:飛行機恐怖症広がるインド、墜落事故に深刻

ワールド

米上院共和党、EVの新車税額控除を9月末に廃止する

ワールド

米上院、大統領の対イラン軍事力行使権限を制限する法
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 5
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 6
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 9
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 10
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中