最新記事
米大統領選

投票日まであと1週間...米大統領選「5つの争点」を徹底解説 独自調査で見えた「最大の争点」は?

SURVEY SAYS…

2024年10月30日(水)14時22分
ニューズウィーク米国版編集部

イスラエル

newsweekjp20241030033733-c3e959b5f0ce262f68205d7b414f91c64ac205d1.jpg

ILLUSTRATION BY BRITT SPENCER

パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの戦争を続けるイスラエルを、アメリカ政府は支持・支援し続けるべきか。この点に関して、若い世代には否定的な人がかなりいるようだ。

ハマスがイスラエルへの越境攻撃で約1200人を殺害し、少なくとも250人を人質に取ってから1年が過ぎたが、ガザ戦争に終わりは見えない。ガザの保健省によれば、パレスチナ側の犠牲者は4万2000人を超えている。


本誌の調査では、アメリカ政府のイスラエル支援に最も懐疑的なのはZ世代の若者(18~26歳)だった。「アメリカは今すぐイスラエルへの支援をやめるべきだ」という回答が、この年齢層では約16%に上る。ちなみに59歳以上の年齢層では8%にすぎない。

政治評論家や選挙のプロは「若者の投票行動を軽視しがちだ」と言ったのは、首都ワシントンにあるシンクタンク「国際政策センター」のマット・ダス。

「若い世代が投票日に投票所へ行くかどうかを見ているだけではいけない。彼らが選挙戦でどれだけ動き、どれだけの票を掘り起こすか。そこに注目すべきだ」とダスは言う。「そういうボランティア活動を担う人の多くは若者だ」

しかし若者たちの思いは、まだ年長者に届いていない。本誌の10月の調査でも、アメリカは「イスラエルが勝つまで」支援を続けるべきだとの回答が全体の34%を占めた。8月の調査でも33%だった。

支持政党別で見ると、10月の調査ではハリス支持者の27%が「アメリカはイスラエルが勝つまで支援を継続すべき」だと答えている。8月の調査でも、ほぼ同じ割合だった。またトランプ支持者でも、10月時点で45%が同様の見解を支持していた。

しかしハリス支持者の半数近く(44%)は10月時点で、イスラエル支援の「見直し」を求めていた。今すぐ支援をやめるべきだとの回答も12%ほどあった。対するトランプ支持者では「見直し」が28%、「今すぐやめるべき」が14%だった。

マカレスター大学のアンドルー・レイサム教授(国際関係論)は「民主党員は引き裂かれている」と言う。なぜか。そもそも民主党はイスラエルの自衛権を認める一方、その権利を人道的な配慮(早期停戦)や地政学的な事情(戦火の拡大阻止)で制限しようとしているからだ。

また民主党の支持基盤には(アラブ系を含め)親パレスチナの有権者もいるから、彼らの意向を無視できない。「しかし共和党は、イスラエルには自衛のためなら何でもする権利があると平気で言い切れる」と、レイサムは言う。

ガザ戦争が選挙戦の最終盤で争点になるとは思えない、とレイサムは指摘した。しかし、十分すぎるほど両陣営の「差別化に役立ってきた」。

──ブレンダン・コール

ニューズウィーク日本版 コメ高騰の真犯人
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月24日号(6月17日発売)は「コメ高騰の真犯人」特集。なぜコメの価格は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、イラン「無条件降伏」要求 最高指導者「

ワールド

習主席、中央アジア5カ国との条約に署名 貿易・エネ

ワールド

米軍、中東に戦闘機追加配備 イスラエル・イラン衝突

ビジネス

米5月の製造業生産、前月比0.1%上昇 関税影響で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 10
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中