最新記事
ウクライナ侵攻

迫るロシア軍からドネツク州ポクロフスク近郊で、大規模な避難活動...東部戦線の「ターニングポイント」に

A NARROW ESCAPE

2024年10月11日(金)09時28分
小峯弘四郎(フォトジャーナリスト)

newsweekjp20241010032517-f786151d0b6aaac80ec470528e74a52f77ffd30e.png


筆者は8月19日にドネツク州に入り、20日からポクロフスクの避難民の救出活動を行うボランティア団体に同行取材を始めた。車のある人は自力で避難し、高齢者や病人・障害者の避難をボランティアが助けるという。ポクロフスクに入ると、人通りや交通量も多く、救出に来た車両や、軍用車でごった返していた。

その日は、ポクロフスクの南に位置する都市ウクラインスクの家族を迎えに行き、北部のクラマトルスクまで送り届けるという活動だった。ロシア軍がウクラインスクまであと約10キロの地点まで迫っていたが、ウクライナ軍が撃ち返す砲弾の音もかなり遠くに聞こえて安心感がある。


ポクロフスク中心部から現地に向かう前に、同行するボランティアたちが防弾ベストとヘルメットを着用しだした。大げさに思えたが、聞くと10キロという距離はロシア軍の全てのミサイル攻撃の射程内で、ドローンの飛行範囲内でもあるという。

その後の数日間で、いずれもロシア軍の前線から6〜10キロのミルノグラード、セリドベ、ヘルニャック、ゾリナなど周辺地域を回り、住民を安全な地域まで送り届けていく。少しずつだが、着実に避難は進んでいった。

市内各所に避難を呼びかける告知が設置され、避難のアナウンスを流し続けるパトカーが市内を循環する。

目立った混乱もなく比較的スムーズに進んでいるように思えたが、9月に入った時点でまだ半数近くの住民が残っているということだった。避難をする決断ができない人、避難を希望していない人など、多い地域では2000人近い人が残っているという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米中外相が対面で初会談、「相違点の管理」で合意 協

ビジネス

ドイツ議会、540億ドル規模の企業減税可決 経済立

ワールド

ガザの援助拠点・支援隊列ルートで計798人殺害、国

ビジネス

独VW、中国合弁工場閉鎖へ 生産すでに停止=独紙
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中