最新記事
新型ドローン

数千度の熱で人間を松明にし装甲を焼き切るウクライナ新型ドローンの恐怖

Russians Bemoan Kyiv's New Thermite-Firing 'Dragon Drones': 'Headache'

2024年9月11日(水)17時18分
イザベル・バンブルーゲン
炎を吐くウクライナの最新ドローン「ドラゴン」

炎のメスで森林を切り裂くウクライナ軍の画期的新兵器「ドラゴン・ドローン」 (9月4日、ウクライナ) 42nd Mechanized Brigade/Ukraine's Defence Ministry

<空から降ってくる炎をからいかにして身を守るか、FPVドローンや爆撃機とも違うこの「ドラゴン・ドローン」は心理的にもっと怖いという>

ロシアの軍事ブロガーはテレグラムで、「ドラゴン・ドローン」と呼ばれる新しいドローンについて嘆く。それは地上に向かって高温の火を噴く兵器で、身を守る方法がないのに上が何もしてくれない、というのだ。

【動画】ドローンが吐き出す炎で標的を焼き尽くすウクライナ最新兵器の破壊力

戦争に関する資料を翻訳する独立系プロジェクト「War Translated」のX(旧ツイッター)ユーザー、ドミトリは、テレグラムで100万人以上の購読者を持つロシアの軍事ブロガー、トゥー・メジャーズによる投稿の抜粋をシェアした。

「ヘルソン州で使用された『テルミット焼夷剤散布ドローン』に対するロシアの見解。いまのところ、対抗手段は何もない。唯一の方法は、コンクリートと耐火レンガで待避壕を作ることだ」

ウクライナ軍は、戦場においてこのドローンが実際に稼働する様子を映した動画をいくつか公開している。サイエンス・チャンネルによれば、テルミットはアルミニウム粉と金属酸化物の混合物で、火をつけると華氏4000度(摂氏約2205度)以上に達する。

これは、溶けた溶岩の2倍の高温だ。ウクライナ軍事センターは、テルミットは装甲車両を焼き切ることができると報告している。

何をやっても焼石に水

「(ウクライナ軍は、)テルミット焼夷剤を投下する新型ドローンも手に入れた。頭が痛い」とトゥー・メジャーズは述べた。ロシア軍は、炎を放つドローンの攻撃から身を守る方法を考え出そうと必死だという。

「最初は、ドローンが待避壕に飛び込まないようにネットを被せ、次に、ドローンの熱感知カメラに映らないようにマントや毛布を使った」とトゥー・メジャーズは言う。いまのところロシア兵は「できるだけ深く土を掘り、できるだけ多くの砂を用意するしかない」。

「理想的なのは、耐火レンガかコンクリートだ。火を消すための水と砂は常にあるべきだ」とトゥー・メジャーズは書いている。

「そしてご承知の通り、これらすべてを、ほとんど自分たちでやらなければならない。新しいテクノロジーの情報がトップの耳に届く前に、自分自身で身の安全を確保しなければならない」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

フランス、米を非難 ブルトン元欧州委員へのビザ発給

ワールド

米東部の高齢者施設で爆発、2人死亡・20人負傷 ガ

ワールド

英BP、カストロール株式65%を投資会社に売却へ 

ワールド

アングル:トランプ大統領がグリーンランドを欲しがる
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中