最新記事
恐怖

運河に浮かぶのは「人間の手」? 通報を受けた警官が駆けつけて判明した「正体」は...

Woman Calls Cops Over Fears There's a 'Body' in the Canal;Then Looks Closer

2024年9月10日(火)11時14分
ジャック・ベレスフォード
不気味な川

(写真はイメージです)Csillagvirág-Pixabay

<英ウェールズに住む女性が運河に浮かぶ「人間の手」のようなものを目撃。数日前には遺体も見つかった場所だっただけに警察に通報したが、その結果は...>

ある心配性の母親が、少々決まりが悪い思いをする一件があった。「事件」が起きたのは、2019年2月23日。英ウェールズのニースに住むヘイリー・トーマスは子どもたちと散歩に出かけたとき、町を流れるニース運河に何かが浮かんでいるのを発見し、これを人の手だと思った。

【画像】「怖い」「これは見間違える」...運河に浮かぶ「人間の手」の正体は?

しかし警察の調べで、この物体は結局死体ではなく、どこにでもあるような日用品だったことが確認された。

「正直に言うと、私は完全にショック状態で信じられない思いだった。特に子どもたちを連れていたから」とトーマスは本誌の取材に語った。「私は何度か行ったり来たりし、『いや、そんなはずはない』と、頭の中で言葉をめぐらせた」

とはいえ、彼女がこの結論に飛びついてしまったのも無理はない。実際に、人間の視覚系には脳を騙して、自分の周囲に存在する物体について不正確な推察をさせる能力があると研究で判明しているからだ。

2023年には、イギリスのヨーク大学とアストン大学のメンバーからなる研究チームが、この理論を検証している。この研究では、参加者たちに2種類の写真が提示された。ひとつはフルスケール(実物)の鉄道を写した写真だが、上下をぼやけさせたもの。もうひとつは、より小さなスケールの鉄道模型をくっきりと写したしたものだ。

参加者たちは、2枚のうちどちらが「現実の」写真かを判定するよう要請されたが、誰もが繰り返し、模型の写真のほうを選んだという。参加者たちには、ぼやけた写真に写った実際の列車が、もう1枚の写真に写っている模型の列車よりも小さいように見えたということだった。

この研究結果が発表されたとき、刑事司法制度や目撃者の証言の扱いに関して大きな影響があると受け止められた。冒頭で触れたトーマスの体験は、この研究結果を現実の場で示す、またとない好例にも見える。

ただし、彼女が警察に連絡する前に「セカンドオピニオン」を求めていたことは注目に値する。

「母や夫、友人に電話をして、彼らに(運河の)写真を送った。みんな、『何てことだ、君が遺体を見つけるなんて』と言っていた」。それでも確証が持てなかったトーマスは「このまま現場を立ち去ることも考えた」が、はっきりさせた方が良い、との結論に達したという

「このまま立ち去って、後になって本物の遺体が発見されたと聞いたら、自分を決して許せなかっただろう」と彼女は語った。さらにトーマスには、遺体が発見される可能性について警戒心を抱く別の理由もあった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国船3隻がホルムズ海峡通過、「湾岸地域の平和回復

ワールド

独失業率、3月は6.3%で横ばい 失業者数も変わら

ビジネス

ユニリーバ、食品事業統合でマコーミックと協議 60

ワールド

他国とのバーター取引、官房長官は否定せず インドか
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 5
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 8
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中