最新記事
ウクライナ戦争

ロシア軍の無線を傍受し、ウクライナ部隊が「待ち伏せ攻撃」に成功...映像を公開

Ukrainian Soldiers Ambush Russians After Capturing Enemy Radio

2024年8月4日(日)13時05分
イザベル・ファン・ブリューゲン
ウクライナ軍がロシア軍への待ち伏せ攻撃に成功

@wartranslated/X

<ウクライナ北東部ハルキウ州で行われた戦闘の様子を捉えた動画。ロシア側の情報をつかんだウクライナ部隊は奇襲攻撃を仕掛けることに成功した>

ウクライナ軍が、ロシア軍の無線機を取得し、そこから得た情報によってロシア兵を「待ち伏せ」する様子を撮影した映像を公開した。さらにウクライナの兵士はやってきたロシアの部隊を騙し、奇襲攻撃を仕掛けることで撃破することに成功しており、この様子も動画に収められている。

■【動画】ロシア軍、ウクライナ部隊に騙され「待ち伏せ攻撃」の餌食に...一部始終の映像が話題

映像は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナへの本格的な侵攻を開始した2022年に結成された、ウクライナ陸軍の第3独立強襲旅団が公開したもの。この映像を、戦争に関する資料を翻訳する「War Translated」の運営者がX(旧Twitter)で共有した。

「ウクライナ兵がロシアの無線機を取得し、ロシア兵2人を騙して自分たちに向けて発砲させないようにした瞬間だ。敵に近づくと、ウクライナ兵は発砲した。ドローンによる空爆も行い、ロシア軍は撤退を余儀なくされた」と投稿には記されている。映像は、ウクライナ北東部ハルキウ州近郊で撮影されたという。

ロシア軍は5月前半に同州に攻勢をかけ、多くの村落を占領。市民数千人が避難を強いられた。しかし6月8日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシアの攻勢は失敗したと述べた。

「非常に重要な結果は、ロシア軍が失敗したことだ。方向性は強化され、一層強化されるだろう」。ゼレンスキーは、ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官との会談後にこう語った。

ハルキウ占領を諦めたロシア軍の目下の制圧目標は

ゼレンスキーは8月1日、記者団に対し、ロシアはもはやハルキウ州の占領を試みないとの見方を示し、プーチンの新たな目標は東部ドネツク州のポクロフスクを占領することだと述べた。

ドネツク州とルハンスク(ルガンスク)州で構成されるドンバス地方は、ロシアが2014年にウクライナ東部に侵攻して以来、完全占領を目指している。

ゼレンスキーは「東部戦線全体が困難な状況にある。ロシアがハルキウ州の制圧に失敗し、もはやその制圧は実現不可能であると我々は認識しており、主な目標はシフトした」と述べた。

「スロビアンスクを排除することはできないが、ロシアの主要な焦点はもはや東部全体ではない。今日、彼らはポクロフスクを最重要視している。ポクロフスクの前線とポクロフスク市が彼らの主な標的だ」

ゼレンスキーはさらに、ロシア軍の兵士、武器、すべてのリソースは現在ポクロフスク戦線に集中していると指摘した。ゼレンスキーは以前、ハルキウ州の戦闘におけるロシアの損害はウクライナの8倍に上ったと述べている。本誌はこの主張を独自に検証できていない。

米シンクタンクの戦争研究所(ISW)は7月29日、ロシア軍はポクロフスク方面でウクライナ軍を包囲すべく前進していると指摘した。

ロシア軍は現在、アウディーイウカの北西に位置するノボセリフカ・ペルシャ西部に陣地を構えており、同軍が最近、「居住区全体を占拠したことを確認した」と戦争研究所は述べている。

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中