最新記事
SDGs

SDGs進捗に警鐘...2030年目標達成は遠い夢?

2024年7月30日(火)13時50分
冨田龍一
SDGs達成まで残り6年。報告書が示す進捗と必要な行動 ©UN Photo

SDGs達成まで残り6年。報告書が示す進捗と必要な行動 ©UN Photo

<2024年のSDGs報告書は、目標達成への進捗が依然として厳しい状況にあることを明らかにした>

持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みが大きな壁に直面している。2024年の国連報告書は、現在の進捗状況が目標達成には程遠いことを明らかにし、急速な行動と投資が求められていると結論づけた。

国際協力と資金調達の必要性

報告書によると、SDGsの目標のうち達成に向けた進展が見られるのはわずか17%に過ぎない。半数近くが停滞しているか、わずかな進捗しか見られない状況だ。

新型コロナウイルス感染症の影響、紛争の激化、地政学的緊張、気候変動の悪化などが、進捗を大きく妨げている。2022年には極度の貧困に陥った人々が2300万人増加し、飢えに苦しむ人々は1億人を超えた。

さらに、2023年は観測史上最も暑い年となり、世界の気温上昇が1.5°Cの危険水準に近づいたことが報告されている。国連事務総長のアントニオ・グテーレス氏は、「この報告書は、より強力でより効率的な国際協力によっていますぐに前進を最大化させることが、緊急に必要であることを強調しています」と訴えた。

「6年余りを残す中で、私たちは、貧困に終止符を打ち、地球を守り、誰一人取り残さない、という2030年の約束に対して手を緩めてはなりません」とグテーレス氏は続けた。資金調達の強化が急務であり、開発途上国へのSDG投資の不足額は年間4兆ドルに達している。

困難な問題にも解決策は存在

資金問題を解消するためには、国際金融システムの改革が不可欠だ。平和と安全の確保も急務であり、強制移住を余儀なくされた人々が1億2000万人に達し、民間人の死傷者が急増している現状がその必要性を強調している。そして紛争の解決には対話と外交が重要だ。食料、エネルギー、社会的保護、デジタル接続性などの分野での大規模な投資とパートナーシップが求められている。

報告書は、再生可能エネルギーの導入、女児の教育、インターネットアクセスの拡大などの成功事例も紹介している。特に、女児が学校教育を修了する割合が男児を上回った地域や、HIV/AIDS対策の進展が示すように、困難な問題でも解決の道はある。

9月に開催される「未来サミット」は、SDGs達成に向けた重要なステップとなる。このサミットでは、開発途上国の債務危機への対処や国際金融システムの改革が議論される予定だ。

ニューズウィーク日本版 BTS再始動
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月31号(3月24日発売)は「BTS再始動」特集。7人の「完全体」で新章へ、世界が注目するカムバックの意味 ―光化門ライブ速報―

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米・イラン協議「主要な合意」、23日も継続とトラン

ワールド

トランプ氏、空港に州兵配備検討も 混乱拡大受けIC

ビジネス

米建設支出、1月は前月比0.3%減 民間部門が低迷

ビジネス

ユーロ圏消費者信頼感指数、3月は-16.3 前月か
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:BTS再始動
特集:BTS再始動
2026年3月31日号(3/24発売)

3年9カ月の空白を経て完全体でカムバック。世界が注目する「BTS2.0」の幕開け

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    レストラン店内で配膳ロボットが「制御不能」に...店員も「なすすべなし」の暴走モード
  • 2
    「胸元を強調しすぎ...」 米セレブ、「目のやり場に困る」黒レースのドレス...豊胸を疑う声も
  • 3
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ海峡封鎖と資源価格高騰が業績を押し上げ
  • 4
    イランは空爆により核・ミサイル製造能力を「喪失」…
  • 5
    スウェーデン次期女王ヴィクトリア皇太子、陸軍訓練…
  • 6
    「カメラの目の前」で起きた爆発の瞬間...取材中の記…
  • 7
    「筋力の正体」は筋肉ではない...ストロングマンが語…
  • 8
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 9
    100年の時を経て「週40時間労働」が再び労働運動の争…
  • 10
    【クイズ】2年連続で「世界幸福度ランキング」で最下…
  • 1
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 2
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 5
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    【銘柄】「三菱商事」の株価に高まる期待...ホルムズ…
  • 9
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 …
  • 10
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中