最新記事
軍事交流

北朝鮮が訓練のため軍人をロシアに派遣── 動き出した「ロ朝同盟」

North Korean Soldiers Head to Russia for Training

2024年7月10日(水)17時36分
ビラール・ラーマン
北朝鮮軍兵士と金正恩

北朝鮮軍兵士と写真を撮る金正恩。ロシアは朝鮮人民軍にどんな訓練を施すのか’(写真は3月25日)KCNA via REUTERS

<北朝鮮とロシアが今年6月に締結した包括的戦略パートナーシップ条約に基づき、早速、北朝鮮軍が訓練のためロシアに出発した。互いの軍事的な結びつきの強さを改めて印象付ける動きだ>

北朝鮮の首都平壌にある著名な陸軍士官学校の校長が率いる軍事訓練生が、ロシアに向けて出発した。

【動画】北朝鮮で歓迎セレモニーを受けるプーチン、露骨に「退屈そう」な様子を見せる 「つまらなそう」「飽きてる?」

ロイター通信によると、北朝鮮の軍事訓練代表団によるロシア訪問は、今年6月にロシアと北朝鮮の間で包括的戦略パートナーシップ条約が締結されて以来、初の軍事交流となる。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は6月に平壌を訪問し、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記と二国間協議を行い、パートナーシップ条約に調印した。同協定は、どちらか一方が武力侵攻を受けた場合、「あらゆる手段を用いて、遅滞なく軍事その他の援助を提供する」ことを定めている。

世界的な政情不安定のなかで、北朝鮮とロシアのこの動きは、両国の軍事的結びつきの強化を示す重要な展開だ。

北朝鮮の国営メディアは、北朝鮮軍教育幹部代表団の団長は金日成軍事大学のキム・グムチョル総長と報じているが、訪問に関してそれ以外の情報はない。

今回の訪問は、両国間の新たな条約の調印からわずか数週間後のことであり、この地域における地政学的ダイナミクスの進化を浮き彫りにしている。北朝鮮は長い間、ウクライナに対抗するための武器をロシアに供給してきた。

西側もウクライナへ教官派遣

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、ロシアと北朝鮮の協力関係を「朝鮮半島と欧州の平和と安全に対する明確な脅威であり、重大な挑戦」と表現した。

折しもフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ロシアと戦うウクライナ軍兵士を訓練する軍事教官をウクライナへ派遣する考えを表明していた。

ジョー・バイデン大統領はマクロンの提案に反対していると言われるが、ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は、必要な手続きは既に済み、「最初のフランス人教官がまもなく訓練センターを訪問するだろう」と述べた。

ロシアはこのところ、ウクライナ全土の都市をミサイルで攻撃し、多数の死者を出している。一方、7月9日には、NATO首脳会議がワシントンで開幕し、NATO創設75周年を祝った。

時を同じくしてロシアを公式訪問中のインドのナレンドラ・モディ首相は9日、プーチンとの会談で、「罪のない子供たちの死は痛ましく、恐ろしい」と述べた。

「戦争であれ、紛争であれ、テロ攻撃であれ、人間性を信じる者なら、人の命が失われれば、心を痛めるものだ」と、モディは語った。「なかでも、罪のない子供たちが殺されれば、心に血が流れる。その痛みは実に辛いものだ」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダック上昇、アマゾン・オ

ワールド

ウクライナ東部の要衝ポクロウシクの攻防続く、ロシア

ワールド

クック理事、FRBで働くことは「生涯の栄誉」 職務

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FRB12月の追加利下げに
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつかない現象を軍も警戒
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 9
    「白人に見えない」と言われ続けた白人女性...外見と…
  • 10
    これをすれば「安定した子供」に育つ?...児童心理学…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 7
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 10
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中