クリップスとブラッズ、白人至上主義、ヒスパニック系...日本人が知らないギャング犯罪史
そうしながら、保護は欲しいが、有名になって厳しい監視下にあるABの直接の配下とは見られたくないスキンヘッドの若者たちをスカウトした。まもなく、元被収容者と、この敵意ある集団に引き寄せられた人々の両方で構成されたNLRのストリート・ギャング版も登場した。
現在に至るまで、NLRは一般人に対する人種差別、同性愛嫌悪などの死亡事件を含むヘイトクライムに関与して悪評を高めている。
残念ながら、NLRがプリズン・ギャングに正式に分類され、20世紀から21世紀への変わり目にスティンソン(それにABのメンバーの何人か)を含むリーダーの有罪が確定しても、白人至上主義ギャングの活動を完全に阻止する効果は得られなかった。
NLRとABの残党は(かなり激論が交わされたらしいが)、地元の別の白人至上主義団体で、暴力性と攻撃性で知られたロサンゼルスのロング・ビーチのハードコア・パンク音楽界を起源に持つパブリック・エネミー・ナンバーワン(PENIまたはPEN1)に合流することを決めた。
1980年代の英国で活躍した無政府主義パンク・バンド<ルーディメンタリー・ペナイ>にちなんで名づけられ(もちろん非公認だ)、中産階級のメンバーが多いPENIは、なりすまし個人情報窃盗や詐欺などホワイトカラー系の犯罪に関与していることで知られるが、それ以外に、ほかのストリート・ギャングから白人の若者を「守る」という口実で暴力犯罪に手を染めている。
現在のPENIは、「スキンヘッド―ストリート―プリズン」という混合(ハイブリット)型ギャングになっており、状況に応じて人種差別主義の暴漢と傭兵と詐欺師の三役をこなすメンバーの能力のおかげで、刑務所内だけでなく、富裕層の住む郊外住宅地でも勢力を誇っている。
※第3回:ロサンゼルスのギャング抗争は、警察側も非道なプロファイリング、銃撃・投獄を行っていた に続く

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