最新記事
中国

低すぎる出生率で迷走...中国政府は「中絶禁止」に向かうのか

CHINA’S BABY BUST

2024年4月22日(月)10時31分
ジュリア・カーボナロ
列車の窓から外を眺める母親と子供

列車の窓から外を眺める母親と子供(2018年2月10日、黒竜江省ハルビン) Huang jinkun-Oriental Image via Reuters Connect

<人口維持に必要な水準を大きく下回る少子化は悪名高い1人っ子政策を放棄しても止まらない>

中国は何十年もの間、人口増加を抑えるために1人っ子政策を続けていた。だが今は、ほぼ回避不可能な人口減少の趨勢(すうせい)を、中絶の制限などで逆転させようと躍起になっている。

中国国家統計局は2023年1月、人口がここ数十年で初の減少に転じたことを明らかにした。今年1月に発表した23年の人口も前年を約200万人下回った。

豊富な労働力を追い風に経済を急成長させてきた中国にとって、由々しき問題なのは出生率の低下だ。約14億人の人口を有する中国にとって「初めての経験だ」と、人口と高齢化、格差の問題に詳しいカリフォルニア大学アーバイン校の王豊(ワン・フォン)教授(社会学)は本誌に語った。

「長期にわたる不可逆的で深刻な事態だ。国連のある予測では、中国の人口は今世紀末までに現在の半分を少し上回る程度になる可能性がある。2050年には人口の中央値、つまり人口の半分が50歳を超える。今世紀初めは40歳未満だった」

中国政府は22年に出産・子育て支援策を導入。出生数の増加を期待しているが、人口減少に歯止めはかかっていない。この程度の施策では不十分というのが専門家の見方だ。

この人口動態の変化は、欧米とよく似ている。乳幼児死亡率の低下とともに、生まれる子供の数は減り、子育ての費用が増えるにつれて、子供を持つ余裕がなくなる人々が増える。特に1980~90年代生まれのミレニアル世代は人生で2度の深刻な景気後退を経験している。

高齢者の面倒を誰が見る?

「多くの若者が子供も持ちたがらないし、結婚もしたがらなくなった」と、ハーバード大学フェアバンク中国研究センターで中国社会を研究するスーザン・グリーンハル教授は本誌に語る。「(中国の)子育て費用は法外で、韓国に次いで世界で2番目に高い。既に育児の負担と時間的制約に悩まされている女性にとって、2人目の子供の出産は仕事と収入、自由を失うことを意味する」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、代替関税率を10%から15%に引

ビジネス

エヌビディアやソフト大手の決算、AI相場の次の試金

ワールド

焦点:「氷雪経済」の成功例追え、中国がサービス投資

ワールド

焦点:米中間選挙へ、民主党がキリスト教保守層にもア
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官が掲げる「新しいスパイの戦い方」
  • 4
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    100万人が死傷、街には戦場帰りの元囚人兵...出口な…
  • 7
    ロシアに蔓延する「戦争疲れ」がプーチンの立場を揺…
  • 8
    「窓の外を見てください」パイロットも思わず呼びか…
  • 9
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 10
    揺れるシベリア...戦費の穴埋めは国民に? ロシア中…
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く高齢期の「4つの覚悟」
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由.…
  • 9
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 10
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中