最新記事
北朝鮮

金正恩はどのようにベンツを手に入れているのか?

2024年3月23日(土)08時55分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
金正恩

REUTERS/Shamil Zhumatov

<総貿易額が前年より増加している北朝鮮。制裁対象となっているはずの高級自動車やブランド品をどのように入手しているのか。そして、その資金源について>

世界で最も閉ざされた国の1つであり、経済政策を受けている北朝鮮。それにもかかわらず、制裁対象となっている外国の高級製品を入手することができるのはなぜか。

国連の専門家パネルによる報告書によると、2023年の北朝鮮の総貿易額は2022年の額を上回り、その中には制裁対象となっている外国製の贅沢品が含まれているという。

金正恩総書記の妻である李雪主(リ・ソルジュ)夫人が「ディオール」のバッグを持っている様子はこれまでも何度もキャッチされ、妹で朝鮮労働総副部長の与正氏も昨年2023年9月のロシア訪問時に「ディオール」のバッグを持っていた姿が撮られている。

また、「後継者」と目される娘ジュエ氏も「ディオール」のコートを着用して何度も国営メディアに登場している。

【関連写真】「ディオール」好き、金家の3人の女性たち を見る


 

実際に北朝鮮国内の百貨店では西側の高級ブランド品が販売されており、政府高官らが顧客であることはよく知られている。

中でも注目を集めているのは、ドイツの高級車「メルセデス・マイバッハ」が金正恩と政府高官によって使用されていることだ。

独メルセデス・ベンツ社は、北朝鮮との取引は一切行っていないとし、販売を認可されていない業者や契約地域外への販売も禁止していることをドイツのメディアに語っている。しかし、第三者経由で販売される中古車は管理外であるとも述べている。

【関連写真】メルセデス・マイバッハS600プルマン・ガード他 を見る

北朝鮮に輸入される高級車などは複数の中継地点を経由するなど「第三者」を通して、中国やロシアから入るなど経済制裁の穴をかいくぐったものである。

コロナ禍で国境を閉鎖した北朝鮮だが、現在では列車やトラックが中朝国境を毎日通過しており、またロシアと北朝鮮間の船舶も増加しているという。このように制裁対象商品を輸入する手段は複数存在している。

貧困にあえぐ多くの国民を尻目に贅沢三昧する政府高官たちのモラルを疑う余地はないが、この貿易の「本丸」はロシアとの軍事支援協力であることだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRB、5会合連続で金利据え置き 副議長ら2人が利

ワールド

銅に50%関税、トランプ氏が署名 8月1日発効

ワールド

トランプ氏、ブラジルに40%追加関税 合計50%に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中