最新記事
テキサス共和国

「テキサス州は30年以内に独立国になる」と明言...テキサス・ナショナリスト運動の「主張」

TEXIT DREAMS

2024年3月19日(火)17時40分
ジェームズ・ビッカートン(本誌記者)

newsweekjp_20240318042615.jpg

30年後にはテキサスは絶対に独立していると語るTNMのミラー TEXAS NATIONALIST MOVEMENT

独立「宣言」でどう変わる?

ミラーは、州民投票で独立が支持されれば州政府と連邦政府が交渉プロセスを開始し、2つの密接に結び付いた独立国家が誕生すると考えている。「州民投票で独立が支持されても状況がすぐに変わるわけではない。テキサスの住民は独立に向けたプロセスを開始する。州憲法の改正、それに伴う法整備、国際規約・条約・合意の評価と履行、および連邦政府との交渉などだ」

TNMの公式サイトによれば、独立後も当面は「経済的安定」のために米ドルを使用し、金利は引き続きFRB(米連邦準備理事会)が管理することになる。長期的にはユーロのような「交渉に基づく通貨統合」を模索する構えだ。

ミラーは本誌の取材に対し、テキサスは「連邦制度の累積債務を一部肩代わりする義務はない」とし、独立後に負担するかどうかは、米軍も含めた現在の連邦政府の資産についての連邦政府との交渉次第だと示唆した。TNMの計画にはテキサス軍設立も含まれている。

今年1月には、移民問題をめぐって州と連邦当局の対立が激化した。

1月12日、対岸からリオグランデ川の国境を渡ってテキサス州イーグルパスに入ろうとした避難民の女性と子供2人が溺死した。米税関・国境警備局が救出に動いたが、移民取り締まりのために川に面する公園を管理していたテキサス州兵が公園への立ち入りを認めなかったため、活動ができなかった。

2日後、米国土安全保障省はテキサス州のケン・パクストン州司法長官に1月17日までに公園への連邦当局の立ち入りを認めるよう命じ、従わなければ法的措置も辞さないと警告。だがパクストンは拒否し、「テキサスはバイデン政権の破壊的な国境開放政策に屈しない」と明言した。

分離独立を宣言すれば法的議論を呼ぶのはほぼ確実だろう。連邦最高裁は1869年の「テキサス対ホワイト」判決で州の離脱は違憲と判断。この見解に、ミラーは「合衆国憲法第1条第10節は州に禁じる行為を全て列挙しているが、離脱は含まれていない」と反論する。

英コベントリー大学のマット・クボートルップ教授(政治学)によれば「テキサス対ホワイト」判決は「法学的根拠がお粗末」で最高裁で覆される可能性がある。クボートルップは世界各地の独立運動を調査し、テキサス・ナショナリストとも広く交流。最初は彼らを「一種の極右扱いしていた」が、ダラスでの催しで、ロンドンっ子の自分に「イスラム教徒が支配する街に住むのは怖くないか」と質問した男性が退場を促され、いい意味で驚いたという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

豊田織機のTOB価格「変更する意向なし」=トヨタグ

ワールド

新START失効なら世界が警戒すべき事態=ロシア前

ワールド

中国春節帰省・旅行ラッシュ始まる、連休長期化で消費

ワールド

インドネシアCPI、1月は前年比+3.55% 23
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 6
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 7
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 8
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中