最新記事
兵器

ウクライナ攻勢を強めるロシアのドローン攻撃を、迎撃システム「バンパイア」が防ぐ「初の映像」が公開

Ukraine Downs Russian Shahed Drone with US-Made VAMPIRE SAM System

2024年2月18日(日)07時20分
エリー・クック
ロシア軍ドローン攻撃

写真はイメージです Anelo/Shutterstock

<米軍がウクライナに提供した対ドローン迎撃システム「バンパイア(VAMPIRE)」は、費用対効果の高いドローン対策と言える>

ウクライナが運用する地対空ミサイルシステム「バンパイア」が、ロシアの自爆型ドローン「シャヘド」を撃墜した瞬間と見られる新たな映像が公開された。映像では、バンパイアのシステムによって敵のドローンが破壊、墜落していく様子を見ることができる。

■【動画】ウクライナ軍の「バンパイア」システムが、露ドローンの迎撃に成功する瞬間の「初の映像」

ウクライナの海軍が公開し、オープンソースのインテリジェンスアカウントが共有したこの短い映像は、オペレーターの視点から撮影されたもので、携帯式地対空ミサイルシステムがレーザー誘導弾でロシアのシャヘドを撃墜したように見える。

ウクライナのメディアによると、この映像は、ウクライナにおいて戦闘状況下のバンパイアを初めて捉えたものだという。

本誌はこの映像について独自に検証できておらず、これがいつ、どこで撮影されたのかは不明だ。ウクライナ海軍とロシア国防省に電子メールでコメントを求めている。

軍事専門家のデービッド・ハンブリングは、「バンパイアはまさにこの種の対ドローン作戦のために、しばらく前にウクライナに供給されたもので、このように使用されているのは驚きではない」とニューズウィークに語った。

バンパイアを搭載すれば、先進精密攻撃兵器(APKWS)や他のタイプのレーザー誘導弾を発射することができる。映像では、APKWSのロケットがドローンに命中したが、破壊はしていないように見える。ハンブリングは、ドローンを空中から叩き落としたようだと述べた。

ロシアはウクライナの迎撃ミサイルを枯渇させる作戦

米国は、ウクライナへの防空支援の一環として、対無人航空機システムのバンパイアを供給している。防空体制を維持し、運用し続けることは、ウクライナにとって最大の懸念事項の1つであり、欧米諸国からの軍事支援の焦点となっている。

ウクライナの広範な防空網には、米国製のパトリオット(ロシアの極超音速ミサイル「キンジャル」を迎撃したとされる)のような大型の砲台や、空中のドローンを標的とする小口径機関砲などがある。

ウクライナ統合軍司令部のセルヒー・ナエフ司令官(当時)は1月上旬、同国には「今後数回の強力な攻撃に耐えられる」携帯式防空システム用の弾薬が十分にあると述べ、ロシアはウクライナの迎撃ミサイルを枯渇させようとしていると主張した。

バンパイアシステムは、ロシアの絶え間ないドローン攻撃に対処する費用対効果の高い方法だとハンブリングは指摘する。同システムのロケットの費用は、地対空ミサイル「スティンガー」などのその他の防空用の軍需品の数分の一で済むという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがウクライナを大規模攻撃、3人死亡 各地で停

ワールド

中国、米国に核軍縮の責任果たすよう要求 米国防総省

ビジネス

三井住友トラスト、次期社長に大山氏 海外での資産運

ビジネス

台湾の11月輸出受注、39.5%増 21年4月以来
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 6
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 7
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中