最新記事
北朝鮮

核攻撃力をめざし進化する北朝鮮の潜水艦

What Is Hero Kim Gun-Ok? Analyst Dissects North Korea's New Nuclear Submarine

2024年2月14日(水)17時52分
アーディル・ブラール
金正恩

標的は韓国と日本と米軍基地 CRUX-YouTube

<核ミサイル搭載可能な戦術核攻撃潜水艦を開発した北朝鮮は、さらなる攻撃力強化をめざしていると潜水艦の専門家が警告する>

北朝鮮は潜水艦の攻撃力を高めるための改造に着手した可能性が高いと、あるアナリストは警告している。

オープンソースの潜水艦アナリストであるH.I.サットンは、著書「コバート・ショアーズ」で、北朝鮮が2023年9月8日に進水式を行った同国初の近代型潜水艦「金君玉(キム・グンオク)英雄」について詳細な分析を行った。

submafines.pngH.I.サットンによる内部グラフィック

朝鮮半島における緊張が高まるなか、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記はアメリカと韓国をたびたび脅してきた。一方で北朝鮮は軍事力の拡大と多様化に邁進しており、海軍の攻撃能力の強化もその一環だ。

【動画】潜水艦「金君玉(キム・グンオク)英雄」の進水式でハイな金正恩

 

北朝鮮関連ニュース専門の独立系サイトNKニュースは昨年9月6日、北朝鮮が金君玉英雄艦を進水させたことを報じた。

ロイター通信も同日にこう報じている。「6日の進水式と7日の艦内視察での演説で、金正恩総書記は、アメリカの先進的な海軍資産に対抗するため、自国の核攻撃型潜水艦を手に入れたことに満足感を示したと、国営北朝鮮中央通信が伝えた」

韓国や日本の都市が射程内

サットンの分析によれば、垂直発射管に10発までのミサイルを格納できるこの潜水艦は、北朝鮮の海洋戦略兵器の性能向上を象徴する存在だ。弾道ミサイル4発と巡航ミサイル6発が搭載される可能性が高く、艦橋の後方にある亀の背のような部分の下に収納される。これはまさに、北朝鮮の軍事技術の顕著な進歩を示している。

金君玉英雄に搭載されるミサイルは最新式で、核弾頭を搭載できる潜在能力があり、一般的に信頼性が高いと考えられている。サットンによれば、金君玉英雄の開発は、攻撃能力の強化に向けた北朝鮮の継続的な取り組みを明らかにしており、主に韓国や日本の都市、重要な軍事基地を標的にできるため、広く戦略的脅威をもたらしている。

「この潜水艦の新たな役割は、韓国や日本の都市や重要な基地に対する戦略的攻撃である可能性が高い。搭載されるミサイルの正確な種類は確認されていない。しかし、弾道ミサイルはKN-23ファソン(火星)11Sと推測できる。この短距離弾道ミサイル(SRBM)は準弾道で飛行する。潜水艦発射型のスペックは不明だが、一般に同様の型のミサイルの最大航続距離は690キロと報告されている」とサットンは書いている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中