最新記事
中国株

水泳の飛び込み写真まで「暴落連想」で削除、株安に浮き足立つ習近平指導部

Xi Jinping personally intervenes to save China's stocks

2024年2月8日(木)17時16分
マイカ・マッカートニー

これ以上、悪いニュースは聞きたくない?(写真は2023年サンフランシスコのAPEC首脳会議での習近平)REUTERS/Carlos Barria

<証券監督管理委員会のトップ交代に続き習近平が金融規制当局と直接協議を行うと報じられたのも、内なるパニックのサインか>

ブルームバーグは2月6日、中国の習近平国家主席が同日中にも金融規制当局と協議を行う見通しだと伝えた。政府の介入で、急落している中国の株式市場を下支えしようという意思の表れだ。

中国の株式市場は過去3年間で6.3兆ドル超の時価総額を失っており、中国指導部は市場への関与を強める姿勢を見せている。株価の下落は不動産市場の危機、消費者需要の低迷、製造部門の停滞と並び、中国経済を蝕んでいる病巣の一つだ。

 

だが6日は中国株が大幅に反発。市場の上げ幅は14カ月ぶりの水準となった。上海総合指数は前日比3.23高の2789.49ポイント、深セン成分指数は前日比6%超の上昇を記録した。

また同日、中国政府系投資会社の中央匯金投資がA株(中国本土に本社を構え、深圳証券取引所および上海証券取引所に情報している中国企業の株式のうち、人民元建てで取引されている銘柄)への投資を強化すると発表した。

CSRC(中国証券監督管理委員会)は過去数日、投資家の信頼確保が目的とみられる幾つもの声明を発表してきた。この中には、空売りの規制強化も含まれていた。

「飛び込み写真」まで規制?

こうしたなか、国営メディアの新華社通信は7日、中国共産党指導部がCSRCのトップ(主席)である易会満を解任し、呉清に交代させると報道した。呉は2000年代半ばにはトレーダーを厳しく取り締まり、「ブローカーの屠畜者」の異名を取った。

中国の投資家たちは過去数日、ソーシャルメディア上で不満を吐いてきた。2月2日には、中国版X(旧ツイッター)の「微博(ウェイボー)」上にある在中米国大使館のアカウントに中国の投資家たちのコメントが殺到。同大使館が行ったキリンの保護活動に関する投稿のコメント欄を使って、中国経済の苦境を嘆く書き込みを行った。この投稿は7日午後までに100万件近い「いいね」がつき、18万1000件のコメントが寄せられ、2万回シェアされた。

一部の有識者はこれについて、投資家が在中米国大使館のウェイボーのコメント欄に殺到したのは、CSRC(中国証券監督管理委員会)や関連アカウントのコメント欄に書き込みができなかったからだと指摘した。中国ではソーシャルメディア上での意見交換や議論を規制するために、当局がアカウントのコメント欄を無効にすることがよくある。

5日には新華社通信が、高飛び込みの選手2人の写真を添付した一見無害な「おはよう、中国」という投稿を取り下げる事態があった。プールに飛び込む選手と「中国株式市場の暴落」を対比させるユーザーコメントが、当局の逆鱗に触れたのではないかと言われている。


ニューズウィーク日本版 コメ高騰の真犯人
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月24日号(6月17日発売)は「コメ高騰の真犯人」特集。なぜコメの価格は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NTTドコモ、 CARTAHDにTOB 親会社の電

ビジネス

パリ航空ショー、一部イスラエル企業に閉鎖命令 イス

ワールド

アングル:欧州で増加する学校の銃乱射事件、「米国特

ビジネス

豪サントス、アブダビ国営石油主導連合が買収提案 1
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中