最新記事
温暖化対策

ここは見本市それともサーカス!? COP28の賑わいは企業の「隠れみの」か、気候変動問題普及の証しか

2023年12月7日(木)18時50分
COP28会場のドバイ・エキスポシティ」

アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は、まるで見本市かサーカスの様相を呈している。COP28会場のドバイ・エキスポシティ」で4日撮影(2023年 ロイター/Thaier Al-Sudani)

派手な各国パビリオン、スポンサー企業付きのカクテルパーティー、よりどりみどりのサイドイベント──。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は、まるで見本市かサーカスの様相を呈している。

輝く都市、ドバイの街で見かける広告が宣伝するのは、風力発電の利点や気候変動対策に向けた野心的な計画、そして米石油大手エクソンモービルによる二酸化炭素(CO2)回収プロジェクトだ。

今年の会議の参加登録者数は8万4000人と、COP史上最高を記録した。1995年にドイツのベルリンで開かれた初回会合とは様変わりだ。当時のCPOは地味なイベントで、出席者は4000人に満たなかった。

この様子を成功の証しだと見る者もいれば、気候変動対策という本来の趣旨からそれることを警戒する声もある。

企業のロビー活動を精査するコーポレート・ヨーロッパ・オブザーバトリーの研究員、パスコー・サビド氏は「CO2排出の張本人が、気候変動対策を隠れみのにして政治家にすり寄るロビー祭りだ」と手厳しい。

一方で、国連とCOP支持派は、COPが無ければ地球環境はもっと悪くなっていただろうと言う。

シンクタンクE3Gのシニアアソシエートで、COPに毎回出席しているアルデン・メイヤー氏は、カーニバルのような雰囲気は、気候危機に対する世界的な関与が高まっていることを示す明るい兆候だと言う。

「非常ににぎやかで良いことだ。この問題への注目が一気に広がる臨界点に達したことを意味している」と評価した。

エネルギー効率、天然ガス、再生可能エネルギー業界を代表する「持続可能なエネルギーのためのビジネス評議会」のリサ・ジェイコブソン会長も同意見だ。

ジェイコブソン氏は、2000年にオランダ・ハーグで開催されたCOPでは、参加者数全員が、1つの講堂に収まったと振り返る。参加者が8万人を超える今の状況こそ「私たちが何より望んでいたことだ」と語る。

【20%オフ】GOHHME 電気毛布 掛け敷き兼用【アマゾン タイムセール】

(※画像をクリックしてアマゾンで詳細を見る)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米5月住宅建設業者指数45に低下、1月以来の低水準

ビジネス

米企業在庫、3月は0.1%減 市場予想に一致

ワールド

シンガポール、20年ぶりに新首相就任 

ワールド

米、ウクライナに20億ドルの追加軍事支援 防衛事業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 5

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 8

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中