最新記事
ウクライナ情勢

戦闘動画がハリウッドを超えた?早朝のアウディーイウカに攻め込んだロシア軍、悲劇の叙事詩

Russian APVs wiped out in dramatic Avdiivka video: "cooler than Hollywood"

2023年11月9日(木)21時21分
ブレンダン・コール
ウクライナ東部アウディーイウカ

ウクライナ東部アウディーイウカ。ロシア軍とウクライナ軍の激しい戦闘から煙が立ち上る(10月13日) REUTERS/Alexander Ermochenko

<ウクライナ軍の戦闘動画のなかでも出色? 空中偵察旅団が撮影したという映像はロシア軍の戦車や軍用車両が四方八方から攻撃を受け立ち往生する様子や爆発・炎上する様子を捉えている>

ウクライナは、ロシアが攻勢を強めている東部ドネツク州で、ウクライナ軍がロシア軍の戦車を破壊する様子を捉えたとする動画を公開した。

<動画>アウディーイウカに攻め込みウクライナ軍の餌食になるロシア軍14両

動画はウクライナ内務省顧問のアントン・ゲラシチェンコがX(旧ツイッター)の自身のアカウントに投稿。ウクライナ軍の第47機械化旅団の「戦士たち」がロシアの軍用車両を「無効化」したと述べた。

ロシアは10月からウクライナ東部ドネツク州の要衝アウディーイウカに攻勢を仕掛けており、かなりの数の兵士や設備を失っていると伝えられる。ウクライナ軍参謀本部は、ロシア軍が近いうちにこの地域で攻勢の「第3波」を開始すると予想している。

ゲラシチェンコは動画と共に投稿した文章の中で、アウディーイウカ周辺地域では激しい戦闘が繰り広げられており、ロシア軍の戦車や装甲兵員輸送車(APC)が「ウクライナ軍の陣地を突破しようと試みたが、地雷で吹き飛ばされ、砲撃でとどめを刺された」と記した。

上空から撮影された動画には字幕がついており、動画冒頭に「早朝にロシア軍の車列から攻撃」という字幕が表示され、14台の車両のうち1台が側面に攻撃を受ける様子が映し出される。攻撃を受けた車両はそのまま走行を続けるが、その後、突如煙を上げて爆発する。

「ハリウッド映画よりも格好いい」

その後、複数のロシア車両が攻撃を受け、車列の真ん中で立ち往生して「渋滞」を生み出し、1台の装甲兵員輸送車が渋滞を迂回しようと試みる。ウクライナ軍が渋滞に巻き込まれた装甲兵員輸送車2台を狙って攻撃すると、車両からロシア軍の兵士が逃げ出す。

その後、ロシア軍の車両はさらに前進を続けるが、地雷が爆発。後退を試みる。破壊された車両が映し出されるなか、大きな爆発が起きて煙が噴き出す。ゲラシチェンコはこれについて、「クラスター弾の小型爆弾」が装甲兵員輸送車を「正確に狙った」様子を捉えたものだと説明した。

ゲラシチェンコはこの投稿に「第47機械化旅団の任務は大成功だった。高画質の動画を撮影してくれた空中偵察旅団に感謝する」と書んだ。「彼らが(動画に施した)特殊効果はハリウッド映画よりも格好いいと思わないか?」

3分超のこの動画は、11月8日午後の時点で25万回以上視聴されている。本誌はこの動画の信ぴょう性について独自に確認できておらず、ロシア国防省にコメントを求めたが返答はなかった。

戦争研究所はロシアの複数の軍事ブロガーが発信した情報を引用し、ロシア軍はアウディーイウカの西部および北西部周辺で「わずかに前進」したと述べた。また同研究所によれば、ウクライナの南部では、ウクライナ軍の装甲車両がドニプロ川を渡り、ロシア軍が占領する東岸に到達。ウクライナ軍が先に東岸に築いていた橋頭保に装甲歩兵車を運び込み、陣地を拡大する可能性が高い。

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米上院議員、トランプ政権のベネズエラ船攻撃を批判 

ビジネス

インド、対中輸入規制の緩和検討 一部関税引き下げ=

ビジネス

EXCLUSIVE-SMBC、イエス銀行への出資比

ビジネス

アングル:米地銀株安が日本に波及、利益確定の口実か
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    間取り図に「謎の空間」...封印されたスペースの正体…
  • 5
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 6
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 7
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    ホワイトカラーの62%が「ブルーカラーに転職」を検討…
  • 10
    イーロン・マスク、新構想「Macrohard」でマイクロソ…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 3
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 4
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 5
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由…
  • 6
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 7
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 8
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 9
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 10
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中