最新記事
アメリカ政治

共和党メルトダウン──自己顕示欲しかない「トランプ教信者」が地方から全米を乗っ取る

The GOP Schism Is Deeper Than You Think

2023年11月3日(金)11時23分
ダラ・ロシュ

パトリック副知事はイスラエル・ガザ紛争を「自分の政治的な利益のために」利用したと、フェラン下院議長を非難し、辞任を求めている。

ニューハンプシャー州では、2020年の選挙でトランプに後押しされて連邦上院議員になったブライアント・メスナーがトランプに反旗を翻し、暴動や反乱に関与した者は公職に就けないと定めた合衆国憲法修正第14条を根拠に、「トランプは大統領選に出馬する資格なし」と主張。

これに対しクリス・エイガー同州共和党委員長は8月、「共和党は誰であれ候補者の出馬が制限されないよう戦う」と宣言し、メスナーとの対決色を鮮明にした。

バージニア州では、最近設定された第17選挙区における指名候補選びの方式をめぐり、共和党全国委員会のドーン・ジョーンズ立法委員長が州レベルの決定を不服として裁判を起こす騒ぎが起きた。

トランプの熱烈な支持者であるジョーンズは、同州のグレン・ヤンキン知事とジェーソン・ミジャレス司法長官(いずれも共和党。州民に人気があるヤンキンはトランプと距離を置いている)の求めに応じて州当局が第17選挙区では予備選ではなく党員集会で指名候補を選ぶ方式にしたことに待ったをかけたのだ。

党の団結は夢のまた夢

法廷はジョーンズの主張を認め、第17選挙区でも予備選が実施されることになった。ジョーンズはこれとは別に、州知事と州司法長官の圧力に屈したとして、同州の選挙管理委員会に対しても訴訟を起こしている。

本誌が10月31日に取材した2人の政治学者は、こうした地方における対立は全国レベルで共和党をむしばむ分断を反映していると述べた。

共和党の内紛は党の進むべき道をめぐる争いとも解釈できると、ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンの米政治研究所の創設者で所長のトーマス・ギフトは本誌に語った。

「州レベルでの共和党の数々の内紛劇を見ると、機能不全に陥っているのは連邦議会の共和党だけではないようだ。首都ワシントンで共和党をずたずたに引き裂いている(保守と中道の)対立は国中でこの党を分断していると見ていい」

「地方レベルの内紛の中には他とは無関係な個別の揉め事もあるだろうが」と断りつつ、ギフトはこう付け加えた。「全体として、党の今後の方向性をめぐる、より広範な対立が起きているという印象を否めない」

「下院共和党の状況をおおむね反映するように、全米各地で共和党の魂をかけた熾烈な戦いが繰り広げられている」と言うのは、英サリー大学の政治学の准教授で、『大統領になったトランプ/選挙遊説から世界の舞台へ』The Trump Presidencyの共同編集者であるマーク・シャナハンだ。「連邦レベルの対立が急速に地方に波及し、あちらこちらで派閥争いが起きている。2024年の選挙まで残り1年足らずというのに、現状では党の団結などとても望めない」

 
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-トランプ氏、欧州駐留米軍の一部

ワールド

ロシア大統領特使が訪米、ウクライナ和平や経済協力巡

ワールド

ロシアがイースター停戦表明、11─12日 ウクライ

ワールド

イスラエル首相、レバノンとの和平交渉開始指示 米で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの大誤算
特集:トランプの大誤算
2026年4月14日号(4/ 7発売)

国民向け演説は「フェイク」の繰り返し。泥沼化するイラン攻撃の出口は見えない

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポケモンが脳の発達や病気の治療に役立つかも
  • 4
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 5
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 6
    戸建てシフトで激変する住宅市場
  • 7
    高学力の男女で見ても、日本の男女の年収格差は世界…
  • 8
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 9
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 10
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 1
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 2
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 3
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで代用した少女たちから10年、アジア初の普遍的支援へ
  • 4
    イラン戦争の現実...アメリカとイスラエル、見え始め…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「考えの浅い親」が子どもに言ってしまっている口ぐ…
  • 7
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 8
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中