最新記事
ニジェール

プーチンはアフリカに「無償武器供与も厭わない」 ──ニジェールの隣国ブルキナファソの暫定大統領

Putin Ready to Give Out Free Weapons as Niger Tensions Boil Over

2023年8月2日(水)23時16分
マシュー・インペリ

ニジェールの首都ニアメーで欧米寄りの与党本部に放火したクーデター支持者たち(7月27日)REUTERS/Balima Boureima

<世界で孤立化し、アフリカに新たな橋頭堡を築きたいロシアが予想通り動いた。ニジェールと隣接し、同じく軍事クーデターで生まれたブルキナファソの軍事政権に武器を供与する動きだ>

【動画】慣れていない? エジプト大統領に待たされ、プーチンが所在なく部屋をうろつくシーン

軍事クーデターでニジェール情勢が緊迫化するなか、隣国ブルキナファソの暫定大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がブルキナファソに武器を無償供与する用意があるとの意思を表明したと明かした。

昨年のクーデターでブルキナファソの暫定大統領に就任したイブライム・トラオレは、7月31日に親ロシア系メディア「スプートニク・アフリカ」のインタビューでロシアからの支援に言及し、イスラム過激派のテロと戦うために同国が必要とする武器に関して、プーチンは「あらゆる可能性を否定しなかった」と語った。

「何の制約もなく、(武器の)ライセンス供与を拒まず、それも納得がいく価格での供与だ。ロシアはまた、我々に無償で武器を供与する用意もあると言った」

ニジェールでは7月26日、選挙で民主的に選ばれたモハメド・バズム大統領が、自国軍兵士によって権力の座を追われ、アブドゥラハマネ・チアニが権力を掌握した。

軍によるこのクーデターは、アメリカを含む多数の国々や国連安全保障理事会から非難を受けているが、ブルキナファソと同じく隣国のマリはクーデターを支持している。

「西側の介入は宣戦布告に等しい」

アルジャジーラによると、マリの軍事政権は、ニジェールの軍事クーデターに反応してこう述べた。「ブルキナファソとマリの暫定政権は、友愛の念から連帯を表明する。(中略)自分たちの運命に全責任を負い、有史以前からある主権を全守る決意を示したニジェール国民と連帯する」

さらに、「ニジェールに対する軍事介入があるなら、それはブルキナファソとマリに対する宣戦布告に等しい」と述べたと、アルジャジーラは伝えている。

一方で西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)は、今回のニジェールでの軍事クーデターを非難。バズムが大統領に戻されなければ、「必要なあらゆる手段をとる用意があり、それには力の行使も含まれる可能性がある」と警告した。

ロシア大統領府は7月はじめ、トラオレとの会合ののち、以下のような声明を発表していた。「ロシアとブルキナファソの2カ国間関係は、従来から友好的なものであり続けてきた。2022年には、両国は外交関係の締結から55周年を祝った。ブルキナファソの人々が、共感と関心を持ってロシアに接していることを、我々は承知している」

さらに声明はこう続ける。「我々は、貿易および経済協力を発展させるために協力していく用意がある。両国間の貿易は、ロシアとアフリカの全体的な関係の中で見てもまだ大規模とは言えないが、今日この点について討議することになると私は確信している。成長の余地があるからだ」

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英8月CPI前年比+3.8%、米・ユーロ圏上回る 

ビジネス

インドネシア中銀、予想外の利下げ 成長押し上げ狙い

ワールド

世界貿易、AI導入で40%近く増加も 格差拡大のリ

ビジネス

アングル:「高市トレード」に巻き戻しリスク、政策み
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがま…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中