最新記事
ニューズウィーク日本版編集長が聞く!

「台湾有事」は本当に起きるのか? いま、世界が台湾に注目にする3つの理由とは? 野嶋剛×長岡義博 【第1回目】

2023年8月10日(木)16時25分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
野嶋剛, 長岡義博

Newsweek Japan-YouTube

<「台湾有事は世界有事」「世界経済は道づれ」「台湾の人たちは怖がっている」...。世界の関心が台湾に急速に向かっている背景について、ジャーナリストの野嶋剛氏に聞いた>

ここ数年で「台湾有事」がリアルに語られるようになり、「台湾有事は日本有事」という言葉も浸透してきた。

では、なぜ台湾がここまで注目されるようになってきたのか。台湾の専門家でジャーナリストの野嶋剛氏に本誌編集長・長岡義博が聞く。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「第1回目 ニューズウィーク日本版編集長が聞く!「台湾有事」は本当に起きるのか? 野嶋剛×長岡義博」の内容をダイジェスト的に紹介する。


Newsweek Japan-YouTube

◇ ◇ ◇

 
 
 
 

nwy-2-20230810.jpg

Newsweek Japan-YouTube

今、台湾が世界から注目される理由は、米中対立の激化、半導体、習近平の3点で説明ができるという。

特にコロナ禍で半導体が世界的に不足したことによって、スマホから自動車まで製造業に打撃があったことは記憶に新しい。したがって、全世界の半導体の6~7割を製造する台湾に有事が起こることで、世界経済が「道づれ」になることが懸念される。

nwy-3-20230810.jpg

Newsweek Japan-YouTube

では、台湾の人々は「台湾有事」についてどう見ているのか? 実際、日常会話のテーマにはなっていないという。それを日本のメディアなどは「台湾は落ち着いている」と報じているが、それは「異なる」と野嶋氏は指摘する。

昨年8月のナンシー・ペロシ米下院議長(当時)の電撃訪台への「報復」として、台湾近海で行われた中国軍の「重要軍事演習」の規模が非常に大きかったことは台湾の人々の予想を超え、中国の本気と恐怖を感じていたという。

そこで台湾の人々は、米中対立の中でどのような政治の選択肢があり得るかについて、事態の行方を冷静に見守っているというのがむしろ実態である、と。

nwy5-20230810.jpg

Newsweek Japan-YouTube

その人々にとっての政治選択に大きな影響を与えているのが、来年行われる台湾総統選挙である。アメリカに近い民進党でいいのか、それとも中国に近い国民党でいいのか...。

そんな中、既存の2党以外の第三勢力が台頭する余地がないと言われてきた台湾で、台湾民衆党が勢力を伸ばしつつある。

この台湾民衆党とは何か? 

既存の保守政党もリベラル政党も双方ともに批判し、新たな改革政党であることを打ち出して「真ん中」に入ることで、若者やホワイトカラーの支持率を集めて躍進している政党だ。その点で「日本維新の党」に似ていると野嶋氏は指摘する。

nwy-6-20230810.jpg

Newsweek Japan-YouTube

このように台湾民衆党が支持率を集めていること自体が、アメリカ寄りの民進党と中国寄りの国民党以外の選択肢を求める人々が増えていることを示すものであり、台湾の人々の「迷い」の表れであるという。

■詳しくは動画をご覧ください。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:米株式取引24時間化、ウォール街では期待

ビジネス

英CPI、11月+3.2%に鈍化 市場は18日の利

ワールド

IR整備地域の追加申請、27年に受け付けへ=観光庁

ワールド

率直に対話重ね戦略的互恵関係を包括的に推進=日中関
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中