最新記事
韓国

韓国の「盗撮」が国際的な問題に。公衆トイレ、宿泊施設で隠しカメラが流行

2023年7月19日(水)17時45分
佐々木和義

6月24日には福島原発処理水の放出を控えて韓国内で品薄となっている「天日塩」を盗んだ夫婦が逮捕された。60代の夫婦は6月10日、12日、14日の3日にわたって済州道西帰浦市内の倉庫に保管されていた塩700袋(1袋20キロ)を盗んだという。済州西帰浦警察署は監視カメラの映像などから容疑者を特定した。

7月7日にアパートの入り口の引っ越し荷物からタブレットPCなどを盗んだ80代の女性2人も監視カメラの映像から逮捕に繋がった。

 
 
 
 

交通違反の摘発も監視カメラで行われている。速度違反や信号無視など、監視カメラによる摘発が一般的で、違法駐車も監視カメラで取り締まる。

警察は監視カメラの画像と罰金の振込用紙を所有者に送付する。期限内に納付すると完結して行政罰は免除される。違反車両がリース車の場合、写真と納付書は所有者であるリース会社に送付され、リース会社が契約者に転送する。リース会社の担当者は、交通違反の通知が大きな負担だと話している。

天安市のチキン店の食逃げ犯は店内に設置された監視カメラで特定されたが、多くの飲食店や小売店がレジ近くに監視カメラを設置している。目的の一つが従業員の着服を監視するためだ。飲食代や商品代金として受け取った現金を経営者の目を盗んで着服する従業員が少なからずいるのである。現金の扱いを一切やめたバスもある。

公衆トイレの盗撮を防ぐ法律

7月3日、公衆トイレの盗撮を防ぐ「公衆トイレなどに関する法律施行令」改正案が国務会議で議決した。公衆トイレの個室の隙間を上は30cm未満、下は床から5mm以下とする内容が盛り込まれている。一般的なスマートフォンの厚さは7mm以上なので、隙間を5mm以下に定めたが、盗撮はスマートフォンに限らない。

トイレ内に無造作に積まれたトイレットペーパーの中や紙コップ、火災報知機、浄水器、たばこの箱、車の鍵、掛け時計、鏡などさまざまな場所から隠しカメラが発見されている。

一方、監視カメラは交通違反の取り締まりのほか、ゴミ置き場の不法投棄の監視や地下鉄駅、小売店などあらゆるところに設置されている。なかには音声も録音できるカメラを事務所内に設置して従業員の言動を「盗撮」する会社もあるという。韓国の盗撮カメラと監視カメラは紙一重といって良い状況なのだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

G7、ロシアに圧力強化必要 中東衝突は交渉で解決を

ビジネス

ユーロ高大きく懸念せず、インフレ下振れリスク限定的

ワールド

米ミネソタ州議員銃撃、容疑者逮捕 標的リストに知事

ビジネス

再送(11日配信記事)豪カンタス、LCCのジェット
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 7
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 10
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中