最新記事
アメリカ

南北戦争以来の分断...アメリカの二極化、背景にある「3つの原因」と「日本への影響」

DARKENING AMERICA

2023年7月14日(金)14時30分
グレン・カール(本誌コラムニスト、元CIA工作員)
アメリカの分断のイメージ

アメリカの政治体制や民主主義は埋め難い亀裂に引き裂かれた DOUGLAS RISSING/ISTOCK

<社会の多様化を受け入れられない白人の怒りが、南北戦争以来の二極化に拍車をかけるリスク。本誌「『次のウクライナ』を読む 世界の火薬庫」特集より>

かつてアメリカを訪れた人は、多種多様な人が混在するにもかかわらず、崇高な理念の下にまとまりが保たれている社会に感嘆したものだ。

今は違う。アメリカの政治と社会は、南北戦争以来の激しい分断にさいなまれており、人々は客観的な事実についてさえ合意できない。2021年1月の連邦議会議事堂襲撃事件は、無数の人がその映像を見ているにもかかわらず、事件が本当にあったかが議論になっているのだ!

「覚えておいたほうがいい」と、ドナルド・トランプ前大統領は言った。「皆さんが見ていることは......実際に起きていることとは違うのだ」と。

こうした認識の分断と、社会的緊張の高まりは、皮肉にも、制度的人種差別を禁じる公民権法が成立した1964年以降、少しずつ悪化してきた。人種よりも狭い共同体意識が強くなり、それが社会の分断を悪化させた。主流派としての優位を失うに従い、白人は怒りを募らせ、変化に反発するようになった。

その集大成がトランプだ。なにしろトランプは、エリートや政治機構や民主主義を敵と呼び、民意を代表するのは自分だけだと主張した。

どうしてこんなことになったのか。原因は主に3つある。

インタビュー
現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ「日本のお笑い」に挑むのか?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ安全保障に欧州主導の平和維持部隊 10カ

ビジネス

米ボストン連銀総裁、FRB利下げ支持も「ぎりぎりの

ビジネス

米NY連銀総裁「FRBは今後の対応態勢整う」、来年

ビジネス

カナダCPI、11月は2.2%上昇で横ばい コアイ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 8
    「職場での閲覧には注意」一糸まとわぬ姿で鼠蹊部(…
  • 9
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 2
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中