最新記事
生殖

「超高齢パパ」ブーム到来?...「年齢リスクは男性には関係ない」という「神話」の危険

More Older Dads

2023年7月8日(土)10時15分
シャノン・パラス(科学ジャーナリスト)
ロバード・デ・ニーロ,アル・パチーノ

ロバード・デ・ニーロ(左)やアル・パチーノの家族が増えることはおめでたいけれど PHOTO ILLUSTRATION BY SLATE. PHOTOS BY ARNOLD JEROCKIーGETTY IMAGES FOR AIR MAIL/WARNER BROTHERS DICCOVERYーSLATE AND DIMITRIOS KAMBOURISーGETTY IMAGES FOR TRIBECA FESTIVALーSLATE

<最近、79歳のロバート・デ・ニーロと83歳のアル・パチーノに子供が生まれた。しかし、男性の生殖能力も着実に年を取っていく。セレブの「楽観的な風潮」は誤解にも>

79歳のロバート・デ・ニーロに最近、7人目の子供が生まれた。83歳のアル・パチーノも先月、恋人との間に男の子が誕生した。

(超)高齢で父親になる2人に比べて、お相手の女性たちはかなり若い。USAトゥデーが言うように、2人は人生の「好きなときに子供を持てる男性の特権」を存分に享受しているというわけだ。

ただし、女性ほど急激ではなく目立たないが、精子をつくる人々も、自分たちの生物学的時計が着実に時を刻んでいることを忘れてはならない。

確かに、男性は年齢を重ねてから子供を持つことが女性よりずっと(はるかにずっと)簡単だ。70代や、なかには90代で子供を授かった父親の話も耳にする。

だが、男性の生殖能力は女性の閉経のように完全に停止するわけではないとはいえ、やはり年齢とともに低下する。

人生の後半に(デ・ニーロのニュースを伝えた芸能サイトTMZの言葉を借りると)「強い泳ぎ手」を持つ男性でも、相手の女性はさまざまな妊娠合併症に気を付ける必要があると、専門家は言う。

「高齢女性の不妊や妊娠合併症に関する研究は広く行われているが、高齢の男性について同様の生殖因子を調べた研究は比較的少ない」と、2019年に科学誌「マトゥリタス」に掲載されたレビュー論文は指摘している。

論文によると、男性が父親になる年齢は上昇し続けており、「年齢が高い父親(APA)」から生まれる子供は数十年前より増えている(APAに明確な定義はないが、だいたい40歳以上とされる)。

睾丸は男性の生涯を通じて精子を生成するが、年齢を重ねるにつれて、精子に遺伝子変異が生じる可能性は高まる。

基本的に「体内の全ての細胞は老化の影響を受ける」と、論文の共著者でラトガーズ大学女性健康研究所所長のグロリア・バックマンは言う。

世の男性が誤解する?

精子も例外ではない。論文によると、高齢男性の精子は妊娠糖尿病や早産など、妊娠に関するさまざまな問題につながる可能性がある。

インタビュー
現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ「日本のお笑い」に挑むのか?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中国万科、償還延期拒否で18日に再び債権者会合 猶

ワールド

タイ、2月8日に総選挙 選管が発表

ワールド

フィリピン、中国に抗議へ 南シナ海で漁師負傷

ビジネス

ユーロ圏鉱工業生産、10月は前月比・前年比とも伸び
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 5
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 9
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中