最新記事
米中対立

米司法省、麻薬鎮痛剤原料の違法取引で中国企業・個人を起訴 中国外務省は即時釈放を要求、両国の新たな火種に

2023年6月26日(月)11時25分
ロイター
麻薬鎮痛剤フェンタニルの包み

米司法省は、麻薬鎮痛剤「オピオイド」の一種「フェンタニル」の原料となる化学物質を違法に取引したなどとして中国の化学メーカー4社と個人8人を起訴したと発表した。写真はフェンタニルの包。シカゴ・オヘア空港の米税関・国境取締局で2017年11月撮影(2023年 ロイター/Joshua Lott)

米司法省は23日、麻薬鎮痛剤「オピオイド」の一種「フェンタニル」の原料となる化学物質を違法に取引したなどとして中国の化学メーカー4社と個人8人を起訴したと発表した。

フェンタニルの原料製造に関わったとして米国が中国企業を起訴するのは初めて。フェンタニルは中毒性が強く、米国で薬物過剰摂取の問題に拍車をかけている。

起訴された企業は米国に大量のフェンタニルを持ち込むメキシコの麻薬組織に原料を販売したとされる。このうち1社と幹部3人はフェンタニルの密売、原料輸入、マネーロンダリング(資金洗浄)の罪に、残る3社と個人はフェンタニル製造・流通の共謀罪に問われた。

中国外務省は24日、フェンタニルに絡む口実を利用した中国企業や中国人に対する制裁・起訴をやめるよう求め、「違法に拘束」された人の即時釈放を要求。米国に責任転嫁や中国への中傷を停止するよう求めると表明した。

在米中国大使館の報道官は、自国の法を他国に適用する「ロングアーム管轄権」の行使は麻薬対策での中米協力にさらなる障害をもたらすと述べていた。

ブリンケン米国務長官は18─19日の訪中で、フェンタニルの流入阻止には中国の協力拡大が必要だと伝えた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

セブン&アイ、クシュタールと秘密保持契約を締結 資

ワールド

米・ウクライナ、鉱物資源協定に署名 復興投資基金設

ワールド

トランプ氏「パウエル議長よりも金利を理解」、利下げ

ワールド

一部の関税合意は数週間以内、中国とは協議していない
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 2
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 3
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中